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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1366 宝塚歌劇宙組〜朝夏まなとサヨナラ公演
 10月下旬の暖かい日の午後、日比谷の東京宝塚劇場で上演中の宝塚劇場宙組公演に出かけてまいりました。
 今回は、宙組トップスター朝夏まなとさんのサヨナラ公演。私は2002年春、兵庫の宝塚大劇場で、朝夏さんの初舞台である『プラハの春』『LUCKY STAR』を観劇してますので、15年の長きに渡り朝夏さんの活躍を観てきた事になります。
 なかでも、宙組の2番手スターの時に出演した『Amour de 99!!』というレピューで、フレッド・アステアが映画『ジーグフェルド・フォーリーズ』で演じた泥棒紳士のダンス・ナンバー“This Heart of Mine”を宝塚風に踊ったのが素晴らしかった。
 その時のパートナーだった実咲凛音さんとトップスター・コンビとして、今度はアステア&ロジャースの名作
『TOP HAT』コラムVol.778) に挑戦。ダンスが得意な朝夏さんにとってはラッキーな門出?と思いきや、宙組トップスターの宿命で
『王家に捧ぐ歌』関連コラムVol.809
『エリザベート』関連コラムVol.1131
等の大作が割り当てられました。彼女の為のショーは、わずかに
『HOT EYES !!』コラムVol.10181019
『VIVA!FESTA!』コラムVol.1247
の2作にとどまり、実力を十分に発揮出来たとは思えません。もちろん、これは私個人の見解であり、ファンの皆さんは全く別の意見をお持ちでしょう。

 稲葉太地氏作・演出によるレヴューロマン
『クラシカル・ビジュー』
は宝石をテーマにした作品。意外にも朝夏さんのサヨナラを前面に押し出してはいませんでした。
 毎回感じるのは稲葉氏の演出は、あの広い宝塚劇場の舞台の空間の埋め方がうまくて、それが装置のせいか照明のせいか分かりませんが、どの場面も全く無駄が無い事です。また、シルバーの衣裳であってもゴールドの衣裳であってもゴージャスなのです。お金をかけてるだけではない何かがある様です。白の衣裳や原色を排除している事だけは分かりましたが。
 独特のレヴュー感覚は流石です。
 さて、朝夏さんとはとても相性の良かった実咲凛音さんが前公演で退団した(させられた?)ので、相手役には関西の大手銀行である池田泉州銀行のイメージガールを務めてきた伶美うららさんが抜擢されました。私の見た限り、残念ですがお芝居でもダンスでも、朝夏さんとのバランスが良かった!とは思えませんでした。線が細すぎるのかな?お綺麗なのですが、デュエット・ナンバーも魅力不足でした。
 また、2番手スターで次期トップの真風涼帆さん以下の宙組スターの存在感の弱さが物凄く気になり、この公演後わざわざ花組2番手スターの芹香斗亜さんを連れてくる理由が良く分かりました。
 いずれにせよ、恵まれた容姿に素晴らしいダンス・テクニックを持つ朝夏まなとさんをじっくり拝見出来る素晴らしい舞台でした。

 来年で20年を迎える宙組ですが、《宙組育ちの宙組トップスター》をひとりも生み出していないのが残念、劇団には宙組スターをもっともっとうまく育てて頂きたいものです。

天野 俊哉



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