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Vol.1988 『ロシュフォールの恋人たち』ジャック・ペラン追悼
 近年はフランス映画のプロデューサーとして有名だったジャック・ペランが亡くなりました。フランス映画が誇るミュージカル映画大作『ロシュフォールの恋人たち』(1967)のメイン・キャストのひとりとして知られていますが、私が観たジャックの映画はそれだけなので追悼コラム等はとても無理だと思っていました。
 さらに、先日読んだハリウッド・ミュージカル映画の大スター、ジョージ・チャキリスの自叙伝において『ロシュフォールの恋人たち』のジャック・ドュミ監督が実は大変な癇癪持ちで撮影中の出演者達とのトラブルが多かった!という話を人の悪口など絶対に言わない温厚なチャキリスから出たことでしばらくはジャック・ドュミ監督は避けたい気持ちでいっぱいでした。しかし、私が銀座の小さな映画館で初めて『ロシュフォールの恋人たち』のリバイバル上映を観てから今年で30年になるし、白い水兵服を着た若き日のキラキラしたジャック・ペランを見ないわけにはいかないな、と遂に買ってから一度も封を開けていないDVDに手をのばしました。

 実のところ映画『ロシュフォールの恋人たち』はビッグ・ネームのオン・パレードすぎてジャック・ペランに関しては1967年に出演した時も亡くなった今もその立ち位置は全然変わっておりません!何という皮肉!
 監督/ジャック・ドュミ
 音楽/ミッシェル・ルグラン

 そして各国のスターたち
 アメリカから
 ジーン・ケリー
 ジョージ・チャキリス(存命)
 グローヴァー・デイル(存命)

 フランスから
 ダニエル・ダリュー
 ミシェル・ピッコリ
 フランソワーズ・ドルレアック
 カトリーヌ・ドヌーヴ(存命)

 そしてここでジャック・ペラン
 この序列は公開時のものではありませんが。
 『君の名は』を思わせる《すれ違い》がテーマのこのミュージカル作品でマクサンヌという除隊前のフランス人水兵を演じたジャック・ペランはいつも孤独で、たった一度だけ会った女性を思い続けるロマンチックな青年。作品の中で1番素敵なバラードを歌います。彼が登場するのは、ダニエル・ダリューが経営する広場のカフェばかりですので大スターたちとの接点はほとんどありません。ブロンドの髪が美しいジャック・ペランはまさにアイドルの雰囲気を持った若手俳優。出番が少なくてラブシーンすら無いのは本当に気の毒です。

 初めて特典映像DVDをチェックすると映画製作から25年後の1992年ロシュフォールで開催された《映画公開25周年イベント》や出演者のインタビューや1966年当時の撮影風景などてんこ盛りの内容でした。当時51歳のまだ若々しいジャック・ペランもインタビューに登場しました。音楽のミッシェル・ルグランを除くとどの方もジャック・ドュミ監督を称賛しつつも言葉を選んでいる辺りがジョージ・チャキリスと思いは同じだったのかな?と感じました。ただ、夏場のフランス、しかも野外にセットを組んで俳優だけでなく、何百人というエキストラを動かしての撮影はジャック・ドュミ監督でなくとも半狂乱になってしまったことでしょうね。フランソワーズ・ドルレアックとカトリーヌ・ドヌーヴ姉妹が炎天下で延々と踊らされるリハーサル映像や、いかにも段取りの悪そうな振付場面を見せられるとただただ「スゴいよロシュフォール!」と叫ぶしかありません。道端でジーン・ケリーとドルレアックが出逢うロマンチックな場面の撮影風景もドュミ監督の指示を受けるジーン・ケリーの険しい表情が全てを物語っています。

 『2008年の東京リズム劇場』ではこの“ロシュフォールの恋人たち”がフィナーレ・ナンバーでした。私たちは東京の銀座博品館劇場で踊り、浜松の劇場で踊り、さらに翌年春には『2009年のナショナル・タップ・デー』開催のメルパルク・ホールで踊りました。今では懐かしい想い出になってしまいました。

 “ロシュフォールの恋人たち”ジャック・ペランのご冥福をお祈りいたします。

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天野 俊哉



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