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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.350 フィルム・ノワールに出演させられたハリウッド・ミュージカルのスターたち
 先日DVDショップで1940年代に安い制作費で作られたフィルム・ノワール(サスペンスとかスリラー映画)というジャンルの映画がたくさん売られていたので手にとると、驚いたことに私の大好きなダンサーたちが出演しているので、全部買ってしまいました。以前、偉大なミュージカル・スター、ジーン・ケリーが映画会社の専属俳優だったことからドラマに出演“させられた”エピソード(コラムVol.335)は書きましたが、今回はその続篇ですね。

<シド・チャリース>
 MGMミュージカル最高のバレエ・ダンサーである彼女が出演しているのが「TENSION」(1949)。白黒画面の暗い映画。誰に観せたかったのか?それまでミュージカルの脇役で踊っていたC.チャリースにセリフをしゃべらせてみようと、女性カメラマンの役を用意。白いワンピースが似合うC.チャリースの清純なイメージが作品にマッチしていません。この時点でMGMはC.チャリースを「今後どう使っていいか」迷ってしまったに違いありません。そんなとき、洋服の下にかくされているダイナミック・ボディの魅力を見抜いて悪女役に大変身させたのがジーン・ケリーです。「雨に唄えば」の“Broadway Ballet”でのダンス・シーンでC.チャリースは大ブレイクしました。C.チャリースは50年代後半、フィルム・ノワールの名作のひとつ「暗黒街の女」では堂々の主演をするのですから、人間の運命なんてわからないものですね。

<リカルド・モンタルバン>
 MGMの若手ダンサーとしてデビュー当時によくC.チャリースと組んで踊っていたのが、ラテン・アメリカ出身の色男リカルド・モンタルバン。水着美人エスター・ウィリアムスのミュージカル「水着の女王」(1949)ではE.ウィリアムスの“相手役”として出演。そんな彼が初めて主役を演じたのが「Mystery Street」(1950)。もちろん白黒映画です。
 とりあえず2枚目の刑事役ですが、スーツを着ると小柄で華奢な体が目立ち小ぢんまりしてしまうのですね。いつもはソンブレロ・ハットとかマントとか派手なものを身につけてますから。しかもテクニカラーだし。後年、日本人をはじめ異国人に化ける役が多くなったのはそんな個性や体型の弱さをカバーするためだったのかも知れませんね(コラムVol.191をご参照)

<ジーン・ネルソン>
 松本晋一さんが敬愛するハリウッドきっての2枚目タップ・ダンサー、ジーン・ネルソン。ミュージカル・スターとして大活躍したワーナー映画との最後の契約作品がこの「Crime Wave」(1954)。予告篇によると「おどろきのドラマティック・ロール」とか。確かに前科者で殺人の濡れ衣を着せられる役なので、ミュージカルではポマードべったりのキザに決めたヘアスタイルもここではボサボサ、無精ヒゲをはやし、チャームポイントの笑顔もない。それなりに演じてはいるものの共演者が皆うわてだった!! まず警官役のスターリング・ヘイドンがこの時代にしてはリアルな役者。そしてG.ネルソンに付きまとうイヤなチンピラが無名時代のチャルズ・ブロンソンで、映画をさらっています。踊らないG.ネルソンを観て、「東京リズム劇場」のお芝居で名優たちに囲まれ手も足も出ない自分を思い出してしまいました。20世紀フォックスで「オクラホマ」(1955)などに出演した後、G.ネルソンは映画監督に転向しました。

天野 俊哉




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