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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.162 気になるDVD:オペラ&バレエ映画「ホフマン物語」(1951)
 「天国と地獄」で有名な19世紀フランスの作曲家、オッフェンバッハの遺作「ホフマン物語」の映画化です。
 イギリス映画界において「赤い靴」(1948)がバレエ映画の革命とすれば、この作品はオペラとバレエの見事なコラボレーション。ハリウッドでは創り出すことのできなかった芸術作品と言えます。ただ、私のように長い間「モイラ・シアラーのバレエ映画」と思い込んでいた人間にとっては、映画が進むに従って多少しんどくなった、というのが本音です。
 主人公ホフマンが回想する3つのエピソードによって物語は成り立っています。<パリ>のヒロインは「赤い靴」プリマ、モイラ・シアラー(Y'sコラムVol.43をご参照)で、彼女演じる機械仕掛けの人形と、人形職人役のレオニード・マシーンの踊りが楽しいです。奇想天外な展開なので舞台では表現しづらく、映画によってその効果が十分に発揮されたと思います。<ヴェネツィア>のヒロインはエキゾチックなリュドミラ・チェリーナで、やたら彼女のアップが多く、このエピソードあたりからバレエとオペラのバランスが逆転してきます。そして3つ目の<ギリシャ>のヒロインであるアン・エアーズは(踊れない)歌い手なので、動きがストップしてしまい映画としての魅力が弱く、まるで舞台のライブ映像を見ているようです。またA.エアーズは映画女優としては成功せず、声楽家に転向した人なので、ビジュアル的にも他の2人より落ちます。
 3つのエピソード全てに出演しているバレエ・リュス(Y'sコラムVol.73をご参照)出身のL.マシーンの踊りは、この映画最大の売り物です。「人形職人」から「魂と影を奪われた男」「耳の不自由な召使」など、さまざまなキャラクターを魅力的に演じています。
 近年、バレエ、オペラ、歌舞伎、そして宝塚の舞台まで映画館で上映される時代。本当はこの「ホフマン物語」のような作品こそ、映画館の大きなスクリーンで観たいものです。DVDはジュネス企画より発売されます。

天野 俊哉








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