TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1600 もうすぐ生誕100年ルイーズ・オルブリトン〜背が高すぎるハリウッド女優
 新元号の令和になってもまだまだ続く《もうすぐ生誕100年》シリーズ。ヴェラ・ラルストンに続いて登場するのがあのルイーズ・オルブリトンです。
 「だ、だれですか?それ」  皆さまの呆れ果ててガッカリするお顔が目に浮かびます。
 ルイーズのキャリアはいかにもアメリカ人らしい。
 @お父さんがテキサスの牧場主
 Aオクラホマ大学に入学してジャーナリズムを専攻
 Bハリウッド女優になり娯楽映画を中心に出演
 Cテレビ・ジャーナリストの夫人に

 驚くべきは離婚しなかった事で、ハリウッド女優としては珍しい存在になります。

 さて、目をひくブロンド美人のルイーズの唯一の欠点が身長で、さすがにデカイせいかハリウッド・デビュー後も苦労したそうです。そんなルイーズと契約してくれた唯一の映画会社がユニヴァーサル映画でした。現在でも華やかな活動をつづけているユニヴァーサル映画も1940年代初めはB級作品の製作が多くて、ホラー映画や低予算のミュージカル映画の製作がメインでした。私が持っているその時代のルイーズ出演作品から彼女の活躍をひもといてゆきたいと思います。

アボット&コステロ主演のコメディ映画
『凸凹探偵の巻』1942

 1940年代のアメリカで最も観客を動員出来るハリウッド・スターがアボット&コステロのコメディ・チームでした。ラジオ放送局を舞台にしたシチュエーション・コメディの為、展開が地味になってしまった。ルイーズは壁の花的な存在で気の毒。

ドナルド・オコンナー主演のミュージカル映画
『IT COMES UP LOVE』1943

 『雨に唄えば』の大スター、ドナルド・オコンナーと昨年亡くなったソプラノ歌手のグロリア・ジーン(コラムVol.1546をご参照)主演の上映時間60分足らずのミニ・ミュージカル。ドナルドはおどけることもなく2枚目ぶりを発揮。我らがルイーズはそんなドナルドの美人お姉さま役。出番も多くて魅力的だけど若いルイーズの恋人役が『踊るニュウヨーク』のイアン・ハンターだなんてかなり気の毒。
『THIS IS THE LIFE』1944
 ユニヴァーサル映画が力を入れていたディアナ・ダービン、グロリア・ジーンに次ぐ3人目のオペレッタ・スターであるスザンナ・フォスターとドナルド・オコンナーを組ませたミュージカル。2人があまりにアンバランス。ルイーズはお洒落な雑誌カメラマン役で登場。

ユニヴァーサルお得意のホラーモンスター映画
『夜の悪魔』1943

 ベラ・ルゴシの怪演で有名な吸血鬼ドラキュラ役やや太めの俳優ロン・チェニーJr.にチェンジ。ルイーズは自慢のブロンドを黒髪に染めてドラキュラ映画のヒロインを演じました。共演の先輩女優イヴリン・アンカーズ(コラムVol.1419をご参照)もブロンドなので自分から黒髪に替えたのかも知れません。

ミュージカル映画大作
『BOWERY TO BROADWAY』1944

 バワリーでショーを見せる酒場を経営するライバル同士のジャック・オーキーとドナルド・クックの出世物語。ユニヴァーサル映画の専属俳優に加えてワーナー映画やFOX映画の俳優をズラッと揃えたミュージカル大作。そのくせ肝心のユニヴァーサルのスター達が生かされず、ドナルド・オコンナーとペギー・ライアンのタップ・ナンバーも失敗しています。ただ唯一の例外がブロードウェイ伝説の歌姫リリアン・ラッセルを演じたルイーズが豪華な衣裳に負けず、華やかな魅力をふりまいていました。ルイ・デュプロンやジョニー・ボイル等の名だたる振付スタッフによるミュージカル場面もスターも全くゴージャスさを感じさせないのは演出が二流のチャールズ・ラモントのせいかも。大いに期待して、大いに失望した作品でした。
『THAT NIGHT WITH YOU』1945
 フレッド・アステア主演『晴れて今宵は』のウィリアム・A・サイターが監督し、少女オペレッタ・スターのスザンナ・フォスターを中心に中年スターのフランチョット・トーンをからめたミュージカル・コメディ。スザンナが夢で見るミュージカル・ナンバーがクラシックを上手くフィーチャーしていて楽しめるのですが、歌えないルイーズに相応しい作品とは言えません。

ルイーズ主演のコメディ映画
『SAN DIEGO I LOVE YOU』1945

 サン・ディエゴと言えば海軍基地。第二次大戦中に製作の戦意高揚映画かと思いきや見事なホームドラマ、しかもルイーズ堂々の主演作品。
 『コンチネンタル』『トップ・ハット』等1930年代のフレッド・アステアのミュージカル映画の名わき役で知られるエドワード・エヴェレット・ホートンとエリック・ブロア、そしてサイレント喜劇時代の名コメディアン、バスター・キートンらが出演。市内バス運転手のキートンはサンディエゴにいながら街中しか運行出来ない人生に飽きてしまい、乗客を道連れに海岸沿いを運行してしまう摩訶不思議な演技で笑わせる。最後はルイーズの自宅前までバスを送迎してしまう!さらにキートンは、エリック・ブロアが階段の上から転げ落ちる凄いアクションのスタントの吹替えまで演じている。サン・ディエゴ動物園見学など、のんびりムードが楽しめる作品。

 今回はコラムを読んでくださっている皆さまが絶対ご存知無いルイーズ・オルブリトンを取り上げました、とさ。

天野 俊哉



Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.