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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1511 ニール・サイモン追悼にかえて
 アメリカの劇作家ニール・サイモンが亡くなりました。私は戯曲も小説も読まない人間なのでサイモンの追悼など書けないとは思いましたが、テレビや映画での長い付き合いがあるので無視は出来ません。サイモンには『書いては書き直し』という分厚い自叙伝があり、都内の古本市を覗くと必ず1冊は見つかる!というくらいポピュラーな存在なのですが、マーロン・ブランドやポール・ニューマンの評伝と共に買わずに我慢しています。
 何故かって?
 読みたいと思う本が存在しなくなるのもさみしいもの、ですからね。

 《ニール・サイモン原作》と聞いただけで絶対に面白い、と思うようになったのがサイモン初期の名作『おかしな二人』を10代で観た時からです。ただ、私の場合少し変わっていてジャック・レモンとウォルター・マッソー主演の有名な映画版ではなくて、毎週日曜日の夜遅くにテレビ放送していたテレビ版の方なのです。主演はトニー・ランドールとジャック・クラッグマンのおふたり。ゆるーいテーマ曲が大好きで、「横のものを縦にもしない横着者」というクラッグマンの役柄紹介が笑えた。ふたりのやり取りを毎週楽しみにしていたものです。その後観た映画版でも「あいつはドライブインでもシートベルトを締める小心者だ」なんて仲間たちがジャック・レモンの噂をしたり、気のきいた台詞が楽しくて、一気にニール・サイモンに注目をする様になりました。

 ただし〜映画に於けるニール・サイモン原作の映画なら必ず面白い!〜という説が正しかどうかは分かりません。例え原作が優れていても、映画向けの脚本や演出、さらにはキャスティングが面白さを左右するからです。テレビ・シリーズ『刑事コロンボ』の大ヒットから創られた様なピーター・フォーク主演の映画『名探偵登場』『名探偵再登場』は大いに期待して劇場まで観に行きましたが、あまり洒落たコメディとは言えませんでした。
 逆にコメディではないマーシャ・メイスン主演の『グッバイ・ガール』等の方が40年たった今でも素晴らしかった!と記憶に残っていたりします。
 現在に至るまで
『裸足で散歩』
『スイート・チャリティ』
『カリフォルニア・スイート』
『第2章』
『昔みたい』
『ブルースが聞こえる』
『あなたの恋にリフレイン』
『ブロードウェイ・バウンド』

等の映画を、主演スターではなく《ニール・サイモン原作》のクレジットだけで観に行ったものです。

 さて『おかしな二人』を別にすれば私の中でのニール・サイモン原作映画の最高傑作は『おかしな夫婦』(原題“Out of Towners”)です。1970年代にジャック・レモンとサンディ・デニス主演で、1990年代にはステーブ・マーチンとゴールディ・ホーン主演で2回も映画になりました。最初から最後まで笑いっぱなしの傑作でした。2度目のステーブ・マーチン版ではさすがに治安が良くなり安全になってしまったニューヨークでの追いはぎや野宿の場面があまり笑えませんでしたが、テンポが凄く良かった!
 『2017年のナショナル・タップ・デー』のオープニング・ナンバーでは振付の松本晋一さんがステーブ・マーチン版のサントラ盤から音楽を3曲選び、自らメドレーに編集され、私達に素晴らしいミュージカル・ナンバーを創ってくださいました。そんな事から再びこの作品に愛着がわいたものです(関連コラムVol.12541255)。

 近年、日本の舞台でも加藤健一事務所などがニール・サイモン原作を取り上げている様ですが、一番積極的な劇団は意外にもレヴューの宝塚歌劇団かも知れません。兵庫の宝塚大劇場に隣接する中規模な宝塚バウホールで『おかしな二人』と『第2章』を上演したのは記憶に新しい事です。東京でも旧日本青年館で上演されたはずです。このコラムでよく宝塚コラムを書いて下さるヅカファンの方はわざわざバウホールまで観に出掛けたそうで、素晴らしい作品だったと教えてくれました。

 さあ、Y's本部にこのコラムを送信したらニール・サイモンの自叙伝を探す旅に出なければ。
 ニール・サイモンのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉



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