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Vol.1317 マーティン・ランドー追悼〜当たり役はベラ・ルゴシ
 コラムVol.1316で取り上げた、書店で買える映画DVD BOX《ホラー映画パーフェクトコレクション/ゾンビの世界》には、ジョージ・A・ロメロ監督のカルト作品「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を始め、1930年代から40年代までの、取り敢えずゾンビ映画が10作品収録されています。さすがに全部は観ませんでしたが、ドラキュラ俳優として一世を風靡したベラ・ルゴシには唸りました。ベラ・ルゴシの主演作品は3本あり、真面目なゾンビ映画もありましたが、コメディのような浮かれた作品でもベラ・ルゴシのホラー演技は徹底していて、特に目の演技は特殊映像に頼らない本格的なものでした。そんなベラ・ルゴシが、後年落ちぶれてしまった時期に、ある映画監督と出会うのですが、それが最低映画監督として有名なエド・ウッドでした。
 1994年にエド・ウッドの伝記映画がティム・バートンにより製作され、エド・ウッドを演じたのがジョニー・デップ、そしてベラ・ルゴシを演じたのが、7月15日に89歳で亡くなったマーティン・ランドーでした。

 私がマーティンを最初に観たのが、1959年のアルフレッド・ヒッチコック監督の傑作サスペンス「北北西に進路を取れ」でした。主人公のケイリー・グラントと敵対するグループの中で、ちょっと薄気味悪い悪役を演じていましたが、かなり脇役でした。右の写真でグラントに無理矢理飲ませようとグラスに酒を注いでいるのがマーティンです。

 彼には「スパイ大作戦」※というとても人気の高いテレビ・シリーズがあるのですが、今日まで全く観ずにきているので、どれだけの活躍をしてきたのか?分かりません。

 1988年のウディ・アレン監督作品「重罪と軽罪」では堂々の主演で、マーティンの真面目なイメージがなければ成り立たない難しい役柄でしたね。ドナルド・トランプ(現アメリカ合衆国大統領)の名前がジョークで出てきたのは笑えましたが、Y's発表会“Let's Get Lost”のコラム(Vol.1305)でたまたま触れた、映画「Happy Go Lucky」のベティ・ハットンが“Murder He Says”を歌う場面が登場した時にはビックリしました。
 そして、1980年代からカルト作品の監督として人気沸騰していたエド・ウッドの伝記映画「エド・ウッド」で、ベラ・ルゴシを演じたマーティンは、1994年度のアカデミー助演男優賞を受賞しました。静かな印象のマーティンが、往年のハリウッド・スター、ベラ・ルゴシの高慢な部分を気持ち良さそうに演じていました。また、マーティンとジョニー・デップの尊敬に満ちた、その熱いやり取りにも感動しました。

 機会がありましたら、「スパイ大作戦」を観てみたいものです。マーティン・ランドーのご冥福をお祈りいたします。

※「スパイ大作戦」(原題:Mission Impossible)は1966年から1973年までアメリカで放送されたスパイアクションドラマ。
日本では1967年からフジテレビ系列で全171話が放送された。
マーティンはシーズン1から1969年シーズン3までの76話に出演した。

天野 俊哉



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