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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.884 ベンジートリビア
 映画とワンコが大好きな天野先生のコラムVol.883のオマケです。
 ベンジーは動物トレーナーのフランク・インが生涯で一番可愛がったテリア系の雑種で、その賢さからプードルも雑じっていたと言われています。
 ある日、インのもとにカリフォルニア州の動物収容所バーバンク・アニマルシェルターから、
 「いい犬がいるから見に来ないか?」
 と、電話が掛かってきます。
 行ってみると、兄弟犬はみんなもらわれていったのに一匹だけ残っている雑種の子犬が。
 彼が引き取ったことによって殺処分を免れたその子犬は、当時の人気テレビドラマ「Our Man Higgins」 の主人公にちなんでヒギンスと名付けられ、動物俳優として育てられることになりました。
 当時のインはハリウッドの売れっ子動物トレーナーで、日本でも「じゃじゃ馬億万長者」のタイトルで人気番組の「The Beverly Hillbillies」の動物担当として多忙な日々を過ごしていました。
 ヒギンスは、この人気番組のプロデューサーの目にとまり、新番組「Petticoat Junction」への出演が決定。7年間で163話に出演し、優れた動物俳優に贈られるパッツィ賞を受賞しました。
 このドラマの終了と共にヒギンスは引退しましたが、数年後、映画監督のジョー・キャンプがインに新しい映画の構想を持ち込んできます。誘拐された子供を野良犬が救うという家族向けのその映画こそが「ベンジー」です。
 ヒギンスはカムバックし、映画も完成。ところが配給会社は「観客動員が見込めない」と判断して一社も手を上げませんでした。
 そこでキャンプ監督は、映画の宣伝から配給、パンフレットの執筆まで、全てを自分で手掛け、映画の公開にこぎつけます。すごい情熱!
 映画が公開されるやいなや、「ベンジー」は子供だけでなく大人にも絶大な人気となり、「ジョーズ」「タワーリング・インフェルノ」に次いでその年(1975年)の全米&全加興行売り上げ第3位を記録する大ヒット作となりました。
 映画のヒットも驚きですが、それ以上に驚きなのは、撮影当時ヒギンスが13歳のシニア犬だったことです。リハやカットされた分も含めたら、いったいどれだけ走ったことでしょう。
 そんなヒギンスは犬俳優として数多くの賞を受賞し、ラッシーに続いて動物俳優殿堂入りを果たしました。
 そしてTVドラマ「ベンジーのクリスマス」を最後に引退し、17歳と11ヶ月で老衰でこの世を去りました。
 俳優としてのヒギンスの活躍ももちろん素晴らしいですが、それ以上に大きな功績は、彼がアメリカ全土に犬の里親ブームを巻き起こしたことです。
 殺処分の瀬戸際だった雑種の彼が大スターになったことによって、100万匹以上のワンコが収容所から新しい飼い主のもとへ引き取られたそうです。
 例え、“第二のベンジーを育てて金儲け”的な胸算用があったとしても、彼が仲間の命を救ったことは紛れもない事実です。
 ヒギンスが旅立った後も、インは生涯を通じて動物の保護活動に貢献し、彼が育てた犬俳優の多くが動物収容所出身だったそうです。
 2002年に86歳で亡くなったインの遺志により、ヒギンスの遺灰が彼の棺に入れられて一緒に眠っているそうです。

 このままそっと美談で終わりたいところですが、考えさせられたのは、もし「ベンジー」のヒットがなければ100万匹以上のワンコが殺処分された、ということです。
 環境省自然環境局の最新データによると、2013年に日本全国で殺処分された犬の数は28,570匹。一日に80匹近くが処分されている計算ですが、これでもだいぶ減った方なんです。
 ワンコ映画を観て感動するのも、身勝手にワンコを処分するのも私たち人間だと思うと、何ともやり切れない気持ちになります。
 重くてすみません。

Y's取材班




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