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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.879 画面のアスペクト比
 天野先生が楽しく紹介してくれる映画の世界。ここでは画面のアスペクト比について簡単に解説します。
 アスペクト比とは画面の縦横比のことで、時代の変遷に伴い、大まかにスタンダード・サイズ、ビスタ・サイズ、スコープ・サイズの3種類のサイズがあります。ここでは便宜上横縦比で記述します。

スタンダード・サイズ
 アスペクト比が1.33:1(4:3)の画面サイズです。
 1891年にアメリカのエジソン(実際は部下のウィリアム・ディクソン)が発明した映写機キネトスコープが採用したこの画面サイズが映画の標準サイズとなり、天野先生がよく紹介してくれる世界三大喜劇王チャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイド、バスター・キートンが活躍したサイレント映画はこの画面サイズです。
 トーキーの出現によってサイレントは廃たれますが、映画芸術科学アカデミーにより1932年にこのサイズが映画の標準サイズと定められました。アメリカではこのサイズをアカデミー比と呼び、後のテレビ放送の標準画面サイズとしても定められました。
 長い間主流だったアナログテレビやPC画面、また最新のIMAX70mmフィルムで撮影される作品もこのスタンダード・サイズです。

写真
「成功争ひ」(1914年)のペテン師役でデビューしたチャップリン

ビスタ・サイズ
 アスペクト比が1.66:1または1.85:1の画面サイズです。
 1950年代にパラマウント映画社が開発したビスタビジョン・カメラで撮影した時に得られる画面サイズです。このカメラはスタンダード・サイズの35ミリフィルム2コマ分以上のフィルム面積で1コマを撮影するので、高画質な横長の画面を得られるメリットがありましたが、その後のフィルムの性能向上などにより、ビスタビジョン・カメラで撮影する必要性がなくなりました。ただし、映画館ではテレビに対抗するための横長画面のニーズがあったため、“画面サイズ”としてのビスタ・サイズは引き続き使用されました。これはスタンダード・サイズの上映フィルムの上下をマスクして横長の映像に加工する“インチキ”ビスタ・サイズです。しかもマスクの掛け方の違いによって、ヨーロピアン・ビスタ(1.66:1)とアメリカン・ビスタ(1.85:1)の2種類のビスタ・サイズが生じてしまいました。どうせインチキするなら、足並み揃えてきちんとインチキしなきゃ。日本映画では、天野先生が潰した大映が初めて(アメリカン)ビスタ・サイズを採用しました。
 ちなみに現在のハイビジョン放送の画面サイズは、この2つのビスタ・サイズの大体中間の16:9です。
 「NHKの日本放送技術発達小史」によると、
「人間が好む画面のアスペクト比は、標準の4:3よりも横長にした5:3ないし6:3が望ましいことを明らかにした。その後、“映画との互換性を考慮して”アスペクト比を16:9に決定した」(一部抜粋編集)
とあります。つまりハイビジョン放送のアスペクト比は、ビスタ・サイズを基本に決められたと言えます。

スコープ・サイズ
 アスペクト比が2:1以上の画面サイズです。
 1953年に20世紀フォックス社が最初に上映した画面サイズで、同社の登録商標である「シネマスコープ」の略称です。もっと略して「シネスコ」と呼ばれることが多いようですが、アメリカでは一般的に「ワイドスクリーン」と呼ばれています。
 日本では1956年に「シネパノラミック方式大シネスコ」として新東宝が初採用しましたが、劇場での日本初公開は1957年、東映の「東映スコープ」でした。続いて日活が「日活スコープ」、東宝が「東宝スコープ」、松竹が「松竹グランドスコープ」として採用、東映に日本初を奪われた新東宝も「新東宝スコープ」として制作を続けました。当初ビスタビジョンを採用していた大映も追随して「大映スコープ」として採用しました。
 天野先生がコラムで書かれているように最近は低価格DVDやBS・CS放送などで往年の名画が手軽に楽しめるようになりましたが、もし画面にレターボックス(上下の黒いマスク)が表示されていない場合は、知らぬ間に左右が切れたスコープ・サイズの映画を観ている場合がありますのでご参考まで。
 タイトルすらおぼえていませんが、子供の頃に家で父と西部劇を観ていたら、決闘シーンなのに誰もいない荒野が。ババーンと銃声が2発響き、バタッと倒れる音。えっ?対峙しているガンマンが二人ともバッサリ切れていて映っていなかったんです。テレビで観る映画は左右が切れて放送されていることをこの時に教えてくれました。「西部劇はこれだからなぁ(笑)。時代劇は大丈夫」。妙に納得できる父の言葉でした。
 長くてすみません。

Y's取材班




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