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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.832 大映映画宣伝マンの本
 先ずは懺悔から。
 ジーン・ケリーの名作ミュージカル映画「雨に唄えば」でハリウッドの大スター役のジーンが少年時代を回想する場面が出てまいります。相棒と二人で映画館の切符売り場をスルッと抜けるあのキセルの場面です。実は私も少年時代、地元亀有北口にあった映画館でやったことがあります。やっていた!と言うべきかもしれません。仔犬を連れた少年が悪の道に踏み出した訳ですね。
 とても反省しています。
 そこで上映されていたのが「ガメラ対ジャイガー」という怪獣映画で、大阪の万国博覧会会場を舞台にしていたので1970年頃ですか。
 製作していた大映という映画会社は少しして倒産しまいました。新聞でその記事を読んで物凄いショックを受けた記憶があります。
 お、おれのせいだ。
 その時以来、大映映画を観て会社のマークが出てくるたびに手を合わせる様に。
 また同じ大映の怪獣映画「大魔神」のリバイバルを映画館で観た時など、大画面の魔神様の怒りの矛先が何となく自分に向けられているみたいで恐怖を感じました。映画の中の高田美和さんや村人たちと共に「魔神様お助け下さい!」と手を合わせたりしました。
 そして現代。
 先日、書店の映画書コーナーで中島賢さんという方の書かれた『わが青春の大映回顧録/スタアのいた季節』(講談社発行)を見つけ直ぐに購入いたしました。
 もちろんこれも懺悔の気持ちからです。
 中島さんは全盛期の大映映画で宣伝の仕事をされていた方。私の父と同世代の方なんですね。
 名物永田雅一社長をはじめ市川雷蔵・勝新太郎・若尾文子からガメラ・大魔神まで大スターと映画そして宣伝のエピソードがズラリ。今まで見たことの無い珍しい写真も沢山ありビックリです。
 中島さんは5年前からホームページのブログ「映画が中心のブログです!」にご自分の青春の日々を掲載し、タイミングよく今回の出版に繋がったそうです。
 嬉しい話ですよね。
 大映の全盛期を知るかなりの方が亡くなっている今、日本映画界の記録としても凄く価値のある本だと思います。
 また現在、書店では「大映特撮映画DVDシリーズ」がディアゴスティーニより発売されどこの書店にもあるのでこの中島賢さんの大映映画の本はより魅力的な存在だと思いました。
 興味のある方は是非ご一読下さいね。

天野 俊哉




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