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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.852 インタビューの記録を残す
 タップ・ダンスの世界にはラスティ・フランク女史が書いた「TAP」という名著があります。映画を中心に活躍した往年のタップ・ダンサー達にタップ・ダンサーとしてのキャリアやエピソードを自由に語ってもらい文章に残しました。亡くなった方が多く、残された言葉は貴重であり今や伝説です。
 先日、書店の映画関連コーナーで同人誌の様な作りの珍しい本を手にしました。秋田のくまがい書房という出版社から出版された「永遠の東宝映画俳優」と「俳優・平田昭彦」の2冊。少し高価でしたが、もちろん2冊とも買いました。
 今まで不思議と東宝映画の俳優の関連本はあまり出版されませんでした。先日亡くなり、コラムVol.848でも取り上げた小泉博氏の情報も少なく、追悼文を書くのに苦労しました。驚いたことに「永遠の東宝映画俳優」に収められている14名の俳優やスタッフの中に、その小泉博氏へのインタビューがありました。私が勘で書いた部分がまさにその通りだったり、逆に「サザエさん」のマスオ役にも全力投球されていた様子に感動しました。
 また、私が少年時代にドップリハマっていた東宝特撮映画を、小泉氏は子供向けの怪獣映画とバカにせず、試行錯誤を繰り返しながら演じていたそうです。「自分は怪獣映画の脇役」と思った事が一度も無かったそうです。
 平田昭彦氏は1954年の「ゴジラ」第1作目でゴジラを倒す科学者の役を静かに演じていた方です。初めて「ゴジラ」のリバイバル上映を有楽町の大きな映画館で観たとき、平田氏が登場する場面で多くの観客がパーッと拍手をしたのにビックリしました。現在では、この平田昭彦氏はカルト的存在で、ゴジラと並ぶ大スターなのだそうです。
 平田氏は1984年に亡くなりましたが、当時すでに幅をきかせつつあったCGには批判的で、アナログの怪獣映画の方が大好きだったそうです。「何もかも全てが計算しつくされて、映画が出来る前に、出来ちゃったようなものですよね。全部、先が読めちゃうでしょう。やっぱり手作りの怪獣が出てきて、それが一体、右へ行くのか左に行くのか、撮ってみなきゃわからないような、そういう未知の部分があるような手作りの方が面白いですね」と平田氏。読んで良かったです。
 私が偶然出会ったこれらの本を書いたのは、私よりも若い中村深海氏。タップ界のラスティ・フランク女史と同じような考えから、東宝映画俳優のインタビュー記録を残そうとしたのだそうです。素晴らしい事ですね。

写真右 上から
第2作「ゴジラの逆襲」(1955年)で魚群探査機パイロット月岡正一役を演じる小泉博氏
映画「サザエさん」(1956〜61年 全10作)のフグ田マスオ役で江利チエミさんと
「ゴジラ」で芹沢大助博士役を演じる平田明彦氏
東宝初のヒーロー物TVドラマ「愛の戦士レインボーマン」(1972〜73年)では秘密結社死ね死ね団の首領ミスターK役を演じた。同番組で小泉氏と共演。小泉氏は主人公の父親役を演じ、ミスターKの凶弾に倒れる

天野 俊哉




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