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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.838 緑のおばさんと隊長
 コラムVol.836で天野先生が紹介されていたペギー葉山さんで思い浮かぶのは、私的には“ドレミのうた”“学生時代”、そして“緑のおばさん”です。「ウルトラマンタロウ」(1973)で子供たちと篠田三郎さん演ずる東光太郎(タロウ)をあたたかく見守る緑のおばさん(ウルトラの母)を演じられたのがペギーさんなんです。それから40年以上経った現在でも熱烈なウルトラシリーズファンからは“ウルトラの母”として絶大な人気を誇っています。ただ、私の中ではペギーさんはやっぱり“ドレミのうた”を明るく元気に歌うおねえさんです。先日もバラエティー番組で“ドレミのうた〜大人の事情バージョン〜”※1を楽しそうに歌われていました。
 ペギー葉山さんといえば、俳優根上淳さんとのおしどり夫婦※2で有名ですが、根上さんといえば私の年代では何と言っても「帰ってきたウルトラマン」(1971)の警備隊MATの伊吹竜隊長役です。ウルトラシリーズで初の隊長交代という一大イベントと、新隊長のスーツだけデザインが異なっていたのでよくおぼえています。大映の二枚目スターとして活躍したプライドからか、ただの冗談か、「ヒラと同じなんてイヤだよ俺」という根上さんの一言で隊長のスーツにだけ胸の太いVラインの上に細いラインが加わったそうです。当時のスタッフによると、「知名度の高い根上さんを起用することで保護者層にもアピールし、ウルトラシリーズの格を上げたかった」そうです。はたして思惑どおりに格が上がったかどうかは分かりませんが、子供心に隊長の格上感を感じたことだけは確かです。ちなみに当時の根上さんは48歳。とてもダンディーでオトナの風格が漂っていました。
 第43話で隊長一家が奥さんの実家に里帰りするシーンがあります。助手席の娘さんがスイッチを入れたラジオから流れてくる曲に合わせてリズムを取りながら楽しそうに聴く伊吹隊長。その曲がペギー葉山さんの「南国土佐を後にして」(1959)※3だと知ったのは大人になってからでした。とても遊び心のある演出ですね。失礼しました。

※1 “ドレミのうた”はペギーさんが1960年にブロードウェイで観た「サウンド・オブ・ミュージック」に感銘を受けて訳詞を手掛けたそうで、初めはドレミを全て食べ物にしようとしたらしいのですが“ファ”で始まる物が商品名のファンタしか思いつかず、それだとNHKの「みんなのうた」で歌えないので断念したそうです。「断念した後はもう適当。“ソ”もソで始まってないし」と笑いながらおっしゃっていました。そして全ての歌詞を食べ物の商品名で書き下ろした“ドレミのうた〜大人の事情バージョン〜”(どん兵衛・レッドブル・ミルミル・ファンタ・爽健美茶・ラ王・白い恋人)を明るく元気に歌われ、「あースッキリした!」と笑顔でおっしゃっていました。
※2 こう言ってしまうと身も蓋もありませんが、鳥のオシドリは毎冬パートナーを替えるそうです。
※3 発売1年で100万枚が売れる大ヒット。第10回NHK紅白歌合戦でもこの曲を披露し、さらに小林旭主演で映画化され、ペギーさんもご本人役で出演されて大当たりしたことで爆発的な土佐観光ブームが巻き起こりました。この功績が称えられ、ペギーさんには「竜馬がゆく」の司馬遼太郎に続いて2人目の高知県名誉県人が贈られました。

Y's取材班




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