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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.676 「On the Town」日本初上陸〜取りあえずもう一度
 「なぜ坂本さんは脱いだのか?」
 いえいえ、それではなくて今回オリジナル舞台版を観て気になった事の補足を。
 日本のミュージカルファンならば必ず1度は観ている映画「踊る大紐育」。私など30年以上観てきてますから、舞台版の流れには最後まで乗れなかった一人です。
 3人の女性の中で、主役であるはずのミス地下鉄アイビー・スミスの出番の少なさに驚きました。セリフや歌のナンバーは少ないし、踊りも3ヶ所程度。タクシー運転手や学者さんの方が明らかに目立ちました。
 「On the Town」のブロードウエイ初演でアイビーを演じた日系人のソノ・オーサト(映画ではヴェラ・エレン)は、バレリーナではあるけれども、この作品が決まるまで歌も芝居も経験ゼロでした。
 「東京リズム劇場」での私みたいなものですね。
 彼女の自叙伝(コラムVol.92をご参照)によりますと、演出家ジョージ・アボットは、稽古中に脚本のコムデン&グリーンと共にソノ・オーサトに無理そうな歌やセリフは極力カットしたそうです。
 よって今回の様に、元宝塚のトップスターだった真飛聖さんにとっては物足りない役になってしまいました。宝塚時代を観てきた私は不満を感じました。
 逆に圧倒的存在感を見せつけたタクシー運転手役は、初演ではすでに舞台のプロだったナンシー・ウォーカー(映画ではベティ・ギャレット)が。今回のシルビア・グラブさんは体型が似ているだけでなく、素晴らしいコメディエンヌぶりを発揮し大いに笑わせてくれました。
 そして映画では地味な存在だった学者クレア(映画ではアン・ミラー)が、舞台では歌の担当だった様で、こちらも元宝塚の実力派の樹里咲穂さんが沢山の歌と、映画には無かった婚約者がからむプロットで最高に笑わせてくれ、彼女に持ってこいの役となりました。
 日本では誰々が演じるから!といってブロードウエイ・ミュージカルの役柄やセリフの変更は契約条項により、簡単には出来ないと言われています。
 ブロードウエイの舞台とハリウッドでの映画版のスタッフがかなり重複していたのに対し、舞台と映画で同じ役を演じたのが、タクシー運転手のルームメートでくしゃみばかりしているアリス・ピアースだけたった事を最後に付け加えておきましょう。

写真 上から
「踊る大紐育」(1949年MGM。日本公開は1951年)
ヴェラ・エレン
ナンシー・ウォーカー
ベティ・ギャレット
アン・ミラー
アリス・ピアース

天野 俊哉




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