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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.307 嬉しいジャズライヴ
 以前、このコラムに「皆さんの周りにあるライヴハウス」(Vol.182)を書きました。ライヴハウスにクァルテットで出演していた、バンドリーダーでジャズ・ヴァイブラフォン奏者の出口辰治さんが脳梗塞で倒れたあと、仲間の吉田桂一さん(ピアノ)大表秀具さん(ベース)高橋徹さん(ドラムス)の3人が時々集まり、彼の復帰を待って演奏しているというお話でした。
 出口さんはジョーク200%の楽しい方ですし、美しいメロディーも演奏スタイルも素敵なジャズマンでしたからファンも多く、皆さんどんな形でも良いから逢いたがっていたのです。
 しかし、倒れた直後に見舞った時は、会話を奪われ、右半身は動かず、身体全体が本当に不自由な状態でした。ヴァイブラフォンを打つことの望みは絶たれたと誰もが感じたと思います。それから3年、仲間の応援もあり、音楽への強い思いは大変なリハビリに挑む原動力となりました。作曲にもチャレンジしながら頑張ってきたのです。
 2011年の暮れにクリスマスカードが届きました。福祉会館のクリスマス会に障害者バンドの一員で出演するというのです。左手が少しでも動くことを願って出掛けました。演奏会は音楽好きのボランティアの方々が盛り上げる楽しい時間で、身体の不自由な人が太鼓やトライアングルを打ち鳴らしたり、ギターを奏でました。車椅子からやっと立ち上がった出口さんもマレット1本を構え、奥様がペダルを踏んでの演奏でした。お馴染みのクリスマスメロディーが続き、出口さんは「ウインターワンダーランド」ではソロをとりました。きちっとしたリズムで私は嬉しくて胸が熱くなりました。
 そして年が明けた1月9日には、文頭の仲間と一緒の“出口辰治バンド”として復帰する夜を迎えたのです。以前、よく出演していた荻窪「ルースター」にはこの日を待っていたお客さんがぎっしりでした。先日の和やかなクリスマス会とは別人の響きで、音だけを聴いていたら慣れない左手だけで弾いているとは思えない素晴らしい演奏でした。「朝日のように爽やかに」でスタートし、ファースト、セカンド両ステージ出ずっぱりで頑張りました。
 ライヴハウスにはミュージシャンやダンサーのドラマがあります。今夜、そんなライヴに行ってみませんか。

2012春 小島 文雄




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