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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.269 AFIのこと
 アメリカには設立されて40年以上になるアメリカ映画協会(アメリカン・フィルム・インスティテュート 以下AFI)という映画を大切に保存していこうという組織があります。1973年から年に一度、映画に貢献してきた監督・俳優を選んで賞を贈るイベントを行っており、このTV放送権が重要な資金源になっているそうです。
 この授賞式はジョン・フォード監督が受賞した第1回をはじめ、何度か日本でも放送されています。アルフレッド・ヒッチコック監督、ジェームズ・スチュアート、フレッド・アステア、ジーン・ケリーなどで、アステアは1987年に亡くなった時の追悼番組としてでした。90年代にレーザー・ディスクでまとめて発売したことがありましたが、現在のところDVD発売されていません。先日、今まで観ることのできなかった、私の大好きなジェームズ・キャグニーと、今年亡くなったエリザベス・テイラーの授賞式の映像を入手したので、今回はこのことを書いてみたいと思います。
写真
1 AFIの功労賞
2 1980年受賞のジェームズ・スチュアート(左はグレース・ケリー モナコ王妃)
3 ゲストが気の利いたトークを 〜ジーン・ケリー
4 旧友がきついジョークを 〜ヘンリー・フォンダ
5 最後に長いスピーチが待っている 〜ジェームズ・スチュアート












「アメリカ大統領をしたがえて〜ジェームズ・キャグニーの巻」(AFI授賞式1974)
 ジェームズ・キャグニー(以下JC)は1930年代のハリウッドで最も人気のあったギャング映画のスターですが、1942年にタップを踏んでアカンデミー主演男優賞を受賞しました。
 ロサンゼルスのビバリー・ウイルシャー・ホテルに集まった大勢のハリウッド・スターやその仲間、家族がJCを称えます。当時75歳のJCはどっしりとセンターに座り、左隣には奥様、右隣には当時カリフォルニア州知事であったロナルド・レーガン!! もう私はこのショットでぶっ飛んでしまいました。さらに、ゲストがボブ・ホープ、ジョン・ウェイン、ジャック・レモンなどビッグ・スターだらけなので、あのスティーブ・マックイーンも小さくなっているほどです。
 とても嬉しかったのはJCの1930年代の映画に出演していたメエ・クラーク、ジョーン・ブロンデル、ラルフ・ベラミー、さらに脇役俳優のアレン・ジェーキンスやフランク・マクヒューまでがきちんと紹介されたこと。そんな脇役のひとりとしてロナルド・レーガンを紹介してしまうあたりの構成はお見事。
 この日の司会フランク・シナトラが、自分の持ち歌“My Way”をJCにささげる歌詞に変えた“His Way”をフルコーラスで歌う大サービスがあったり、フランク・ゴーシンという物まねスターがJCの真似をして“Yankee Doodle Boy”を歌い出すと、信じられないことにあのカーク・ダグラスとジョージ・シーガルがマイクを持って乱入し、3人でJCスタイルで歌いまくる。さすがショー・ビジネス大国の人たちはすごいなと思いました。
 70本近いJC映画の名場面集はどれも魅力的でした。JC自身は嫌っていたという、ギャング演技の迫力も言葉では表せません。そんな中、JCがオスカーをとった「ヤンキー・ドゥードル・ダンディー」がたっぷり上映され、何百という星条旗が登場し、強いアメリカを象徴する“You're Grand Old Flag”のシーンでは、この日の最大の拍手が。思えば1974年のアメリカは、ベトナム戦争で苦戦している時代でした。
 1961年に映画界を引退し、すっかり普通の人として生活をしていたJCは、ステージ上での最後のスピーチの時、協会からの「タフガイのイメージを損なうので眼鏡をかけないでほしい」という理由から老眼鏡をかけることができず、手元の原稿が良く見えず苦労したと自伝にあります。その辛さ、今ではとても良くわかります。
写真
1 ロナルド・レーガンとJC
2 脇役レーガンと主役JC(1938)
3 司会のフランク・シナトラ
4 元気な頃のジョン・ウェイン
5 3人のJC(左からカーク・ダグラス、フランク・ゴーシン、ジョージ・シーガル)
6 全盛期のJC(1939)
7 Song & Dance Man
8 星条旗をバックにタップ
9 原稿の字が・・・

Vol.270につづく
天野 俊哉






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