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Vol.2265 女優の久我美子さん追悼
 2024年上半期も多くのエンタテイナーや俳優さん女優さんが亡くなられました。

 生前何度も来日公演で踊られた振付師でダンサーのヒントン・バトルさん、日劇のレヴュー時代から今日まで現役で活躍されていた真島茂樹さん、いつも御夫婦で仲睦まじい姿を見せていた俳優の中尾彬さん、102歳で旅立たれたハリウッド女優からブロードウェイに進出して大成功を収めたミュージカル女優のジャニス・ペイジさん。ジャニス・ペイジさんに関しては生誕コラムVol.1704をご覧になって下さい。

 そんな中、戦後の日本映画で活躍され人気の高かった女優の久我美子さんの訃報にはショックをうけました。
 失礼ながら今日までご存命である事を私は知らなかったのです。東宝映画が誇る怪獣特撮映画のレジェンド故平田昭彦氏の奥様として御夫婦揃ってテレビで拝見したのがかなり昔の事でしたし、同時代に活躍された高峰秀子さん、八千草薫さん、岸惠子さん、有馬稲子さんの様に自伝的な書物も無かったと記憶します。

 もう30年ほど前に週刊誌などで《日本映画の女優ベスト100》みたいな企画がひんぱんにあったのですが、久我美子さんは原節子さんや吉永小百合さんを抑えて堂々のベスト1に輝く事が多かったのです。

 久我美子さんの代表作と言えば岡田英次さんとガラス越しにみせるラブシーンが有名な『また逢う日まで』なのですが私はまだ、何とまだこの作品を観ておりません。黒澤明監督の『白痴』も小津安二郎監督の『お早う』『彼岸花』に至っては「はて、久我さんてどこにでてらしたん?」という具合でして。

 私が観た久我美子さんの映画は久我さんが東宝映画のニューフェースに合格してすぐの、久我さんがまだ16歳前後で出演した豊田四郎監督、黒澤明脚本のオムニバス作品『四つの恋の物語』の池部良さんとの最初のエピソードと黒澤明監督の名作『酔いどれ天使』だけなのです。
 しかも久我さん後の《日本映画の女優ベスト1》とは考えられない位コロコロされていました(失礼)。

 評論家の川本三郎さんが生前の久我美子さんにインタビューした本を読み返してみました。久我さんが本当に朗らかでお嬢様の雰囲気が感じられるインタビューでゲラゲラ笑ってしまいました。
 『また逢う日まで』のガラス越しのラブシーンの時、「ガラスが汚くてここに口をつけるのイヤだなと思いました!」
「しかも監督さん中々OKくださらないんですよ!」
 小津安二郎監督から『彼岸花』のオファーが来た時はいざ台本が出来上がると「他の女優さんの役柄が大きくなっていたんです!」
 小津安二郎監督がお詫びの印に久我さんに用意したのが『お早う』。
「先生、これ子ども達が主役デスよ!」
 確かに。

 久我美子さんをはじめみなさまのご冥福をお祈り致します。

天野 俊哉



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