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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.214 デコちゃんとして親しまれた女優、高峰秀子さん追悼
 日本映画史に残る名作「カルメン故郷に帰る」「二十四の瞳」の女優、高峰秀子さんが12月28日86歳で亡くなりました。私は日比谷シャンテ前にある日本の俳優たちの手形とサインの中に高峰さんのものを見つけてカメラに収めたのが30日、マスコミによる発表が31日でした。日本を代表する木下恵介監督と成瀬巳喜男監督の作品に成功作が多く、小津安二郎監督作品には「宗方姉妹」という失敗作のみでした。
 助監督時代の黒澤明監督と“恋人未満”で終わった恋愛スキャンダルが良く知られています。その頃高峰さんが主演した「綴方教室」(1938)と「馬」(1941)が、私の大好きな映画で、今でも映画館にかかると必ず観に行っています。
 何本も映画でその歌声を聞かせており、「銀座カンカン娘」(1950)が特に有名です。1946年の「東宝ショーボート」では、日劇のタップダンサーだった荻野幸久先生とデュエットしています。現在入手できる高峰さんの写真集には、荻野先生なのに中川三郎先生と誤表記されています。誰か直してくれませんかね。
 先日亡くなった池部良氏(コラムVol.209をご参照)と同じように、優れたエッセイストとして知られており、生い立ちを語った「わたしの渡世日記」(文春文庫)をはじめ、名著が山ほどあります。書店で入手できますので、是非手に取ってみてください。映画そのものを観ていなくても、エピソードに魅力があるので十分楽しめるはずです。
 現在でも日本映画全盛期を飾ったスターの方々はまだまだ健在なのに、その姿のほとんどを見られないはとても残念なことです。亡くなった時だけ思い出したように取り上げる日本のマスコミ、そして映画界の姿勢、何とかならないものでしょうか。
 東京都内には、新文芸坐(池袋)、神保町シアター、ラビュタ阿佐谷、渋谷シネマヴェーラ、銀座シネパトスといったミニシアターが、追悼だけでなく往年のスターの方々の特集を組んでいます。作品に合わせてスターをゲストとして招いたり、インタビューをしたりと、とても心のこもった企画で、ファンを、そしてご本人を喜ばせています。
 高峰秀子さんのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉






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