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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.209 1950年代に活躍した日本映画の二枚目俳優のこと
 先日亡くなったトニー・カティスがアメリカ映画の二枚目俳優とすれば、10月8日に92歳で亡くなった池部良氏は日本映画の二枚目俳優でした。「宇宙大戦争」「妖星ゴラス」など、東宝特撮映画の主演スターとして、私は小学校時代からこの人を知っていました。特撮もの以外にも数多くの作品を観ています。「四つの恋の物語」「青い山脈」「暁の脱走」「若い人」「早春」「雪国」など、タイトルがスラスラ出てきます。
 ただ、監督志望だったということで、役者としての欲はあまり無かったようで、その演技はどれも一本調子でぶっきらぼう、どこからどこまでが演技なのか観ているこちらが戸惑ってしまうほど。役者としての評価は決して高くありません。黒澤作品や木下作品など、決定的なものに出演していないこともマイナスになっているに違いありません。
 ミュージカルへの出演は1950年の「宝塚夫人」のみ。池部氏は歌ったり踊ったりはせず、春日野八千代さん、月丘夢路さんらタカラジェンヌを相手に、長身を生かしたラブシーンを演じるだけでした。池部氏の著書によると、近年その存在がクローズ・アップされている幻の「宝塚ボーイズ」に長身の池部氏もスカウトされたそうです。
 池部氏が本領を発揮したのは、1980年代から数多く出版されたエッセイの著者としてであったと思います。読者をぐいぐいひっぱる力は演技以上のものでした。「脚本を書けなければ監督になれなかった時代」の方なので、もしかしたら監督に向いていたかもしれません。さらに庄司葉子という新人女優を紹介された時、「苗字の“庄”が邪魔だね」という池部氏の一言で「司葉子」さんが誕生したなど、まさにすぐれたプロデューサー感覚ではないでしょうか。
 ご冥福をお祈りします。

天野 俊哉

写真 上から
池部良 青春スター
「青い山脈」左から池部良、杉葉子、原節子
「暁の脱走」左から池部良、山口淑子(伝説の李香蘭です)
小津安二郎監督「早春」左から池部良、笠智衆
「早春」左から池部良、淡島千景





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