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Vol.2115 ナゼ、ジャックは“Fly Me to the Moon”を歌ったのか
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こんにちは。Y's取材班です。
コラムVol.2110で『奥様は魔女』に再登場したジャック・キャシディが、ドラマのエピローグで“Fly Me to the Moon”を歌ったことをご紹介しましたが、さてそれはナゼか?「そんなこたぁどうでもいいよ!」と、天野先生風に言えば皆様のブチ切れのお声が聞こえてきそうですが、チョットだけ調べてみました。
さて、数ある“Fly Me to the Moon”のボーカルナンバーの中で最も有名なのは、やはりフランク・シナトラのカバー・バージョンではないでしょうか。当時、アメリカはアポロ計画の真っ只中(1961〜1972年)で、多くの国民が「“月に連れて行ってもらえる”ことが現実味を帯びた近未来のこと」のような時流でした。そんな中、1964年にリリースされたシナトラ・バージョンの“Fly Me to the Moon”は、時代のテーマソングのように扱われて爆発的な大ヒットになりました。そして1969年7月20日、シナトラ・バージョンを録音したテープが人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号に持ち込まれ、「宇宙で初めて流れた曲」になりました。
ゲン担ぎでしょうか、同年11月に発射されたアポロ12号にも同録音テープが持ち込まれ、月面着陸に連続成功しました。スゴイですね。
ジャック再登場のエピソードがアメリカで本放送された日付を調べたら「ABC | Air Date: March 19, 1970」とあったので、まさに月面着陸という偉業達成の余韻冷めやらぬ時期にオンエアされていました。
ちなみに日本では、アポロ11号が帰還した翌月の8月7日に、その司令船をモチーフにした粒チョコレート「アポロ」が発売、エピソード放送4日前の1970年(昭和45年)3月15日から大阪万博EXPO'70(日本万国博覧会)が開催され、アポロ12号が持ち帰った「月の石」がアメリカ館で展示されて大人気となりました。リアルタイムでご覧になった方もいらっしゃるのでは?
それでは、あらためてエピローグでのセリフと当時の世相を比較してみましょう。
ジャック(以下ジ)「なんとかセリーナに連絡できないかと思って。謝りたくてね」
サマンサ(以下サ)「あれから何かあったんですの?」
ジ「ちょっと飲み過ぎたらしいんだ。食事の後、ダンスに行ったんだよ。とてもロマンチックな雰囲気だったから、彼女の耳元で“Fly Me to the Moon”と、調子に乗って“My Way”も歌ったんだ」
※“Fly Me〜”に続いて1969年にリリースされたシナトラの“My Way”が大ヒットしていた
ジ「気がついたら飛んで行く途中だったんだよ」
ダーリン「何処へ?」
ジ「月へだよ!」
※アポロ宇宙船が月面着陸に成功したばかりだった
サ「とても変わった夢をご覧になりましたのね」
ジ「きっと気絶してたんだ。ホテルの部屋で気がついたら3日経っていたよ」
※アポロ宇宙船の月面着陸までの所要日数は3日(と4時間)だった
ジ「だから彼女に謝りたいんだ」
サ「会ったら伝えておきますわ。そんなことより素直に喜んだらよろしいんじゃありません?」
ジ「何を?」
サ「だって、アポロの宇宙飛行士よりずっと簡単に安上がりに月へ行けたんですもの」
ジ「そう言えばそうだ、ハハハ・・・えっ?」
※莫大な宇宙開発費への批判が高まりNASA(アメリカ航空宇宙局)への予算が大幅に削減された
まさしく「TVドラマは時代を映す鏡」ですね。
Y's取材班
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