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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.2032 まさかの一人二役?
 こんにちは。Y's取材班です。
 先日、すごく久しぶりにクリント・イーストウッド監督・主演『アイガー・サンクション』(1975)(吹替版)を観ました。「イーストウッドがCGやスタント無しでスイスの高峰アイガーの北壁を登るスパイ映画」ということ以外は全く覚えていなかったんですが、オープニングクレジットに我らがジャック・キャシディの名前を発見!ワクワクしながら観ていると「えっ!」開始早々にイーストウッドが狙う標的のボディーガード役で登場して、あっけなく秒殺されてしまいました。セリフがあればイイという訳ではないんですが、イーストウッドに撃たれた時に「ヴァッ!」と唸ってぶっ倒れただけで一言のセリフも無し。まさに秒殺、1秒くらいしか映りませんでした。「コロンボで3回もメインを演ってもイーストウッド映画に出たらこんなもんなんだぁ」と感慨深く観続けていると「あれっ?」半ば辺りで、かつて戦場でイーストウッドを裏切った軍友役で再(?)登場しました。「じゃあ、さっきのボディーガード役はダレ?」。秒殺シーンをスローや静止画で見たり写真に撮ってズームで確認したんですが、ちょっとガタイがデカくは感じるものの、ウ〜ンやっぱりキャシディに見えます。
 撮影当時イーストウッドは45歳、キャシディは48歳で3つ年上ですが立場が全然違います。
イーストウッド(以下イ)がキャシディの肩を抱きながら
 「なあジャック、ちょっと頼みがあるんだ」
キャシディ(以下キ)にこやかに
 「そりゃもうイーストウッドさんのお頼みとあらば何なりと」
イ「始めの方でチョロッとボディーガード役もやってくれないか?」
キ「えっ?いや、それって後から出てきた時にバレませんか?テレビじゃ私も一応名が通ってるし」
イ「大丈夫だいじょぶ、帽子被ってヒゲ足して肉襦袢着ればほんの一瞬だし」
キ「そうですかぁ?はい、じゃあやります。その代わりまた使ってくださいよ」
イ「もちろんさ」キャシディの肩をポンポンと叩いて「じゃよろしく」
みたいなやりとりがあって、キャシディは断れずに一人二役で便利に使われてしまったんでしょうか。ちなみにキャシディが出演したイーストウッド監督作品はコレ一本だけです。
 今回観た吹替版はエンディングクレジットが途中でカットされていて確認できなかったのでネットでも調べたんですが、ボディーガード役が他の誰かなのかまで辿り着けず、真実は謎のままです。
 さて再(?)登場したキャシディが演ずる役のキャラクター作りが見事です。刺繍が施されたイヤらしい白の上下に光モノジャランジャラン、歯は眩しいくらいに真っ白で爪もピッカピカ、エクステ並みの長睫毛。偏見ですが、元軍人なら愛犬はドーベルマンやシェパードあたりがイメージなのにヨークシャーテリアを抱っこしています。これも偏見ですが、自称が「アタシ」だったり「ひさしぶりねぇ」とオネエチックな言葉遣いから、キャシディが“どんな軍隊生活を送っていたのか“まで想像させる翻訳のセンスを感じます。ちなみに今回の吹き替えは田口計さんではなくて、アニメ『おそ松くん』の登場キャラクター イヤミ役の「シェーッ!」で一世を風靡した小林恭治さんです。
 イーストウッドの報復で荒野に置いてきぼりにされるキャシディ。「こんなところに置いて行くくらいなら、いっそ殺してくれ!」「ジョナサーン!(イーストウッドの役名)」と絶叫して出番終了。壮絶な死を遂げてこそが悪役の本望なのに中途半端な置いてきぼりが結末だなんて、違う意味で残酷です。もしかしたらキャシディは役を超えて「殺してくれ!」と叫んでいたのかもしれません。
 キャシディの愛犬が、イーストウッドが走り去るクルマにピョンと飛び乗るシーンが印象的です。もし自分がキャシディみたいな目に遭ったらプリンなら一緒にいてくれるかな、それともキャシディの愛犬よろしく乗ってっちゃうのかなと、思わず考えてしまいましたが、どうでもいいですよね。
 批評家から「駄作」「007の出来損ない」と酷評されたり
・ポール・ニューマン主演で企画されたが「内容が暴力的」との理由で出演を断られた
・ドン・シーゲルにも監督を断られてイーストウッドが監督・主演することになった
・「興行不振の原因はユニバーサルにある」としてイーストウッドはユニバーサルと決別した
などのトリビアがある本作ですが、キャシディファン必見!(っていうか、ファンなら既にご覧になっているでしょうね)ファンならずとも機会があったらご覧ください。そして件のボディーガード役がはたしてキャシディなのか他の誰かなのか、貴方ご自身の眼でお確かめください。
 長いだけでどうでもよくて失礼しました。

Y's取材班



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