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Vol.1907 もうすぐ生誕100年ジョーン・レスリー〜ハリウッド映画のアイドルスターC
 RKO映画『青空に踊る』でフレッド・アステアと共演したジョーン・レスリーは1943年から1944年にかけてワーナー映画の大作ミュージカル映画3本に主演、もう止まるところを知らない!そんな感じでした。

『ディス・イズ・ジ・アーミー』(1943)
 第2次世界大戦中のアメリカで超愛国的だったのが音楽家アーヴィング・バーリン。自らが率先してアメリカの兵隊によるミュージカル『ディス・イズ・ジ・アーミー』をブロードウェイで開幕させ、さらにアメリカ全土のツアーを大成功させました。
 ハリウッドでも最右翼のワーナー映画社長のジャック・L・ワーナーが音頭を取りテクニカラーで映画化。舞台レヴューをベースにハリウッドからキャスティングされたのがジョージ・マーフィ、ロナルド・レーガンそしてジョーン・レスリーでした。ジョージ・マーフィは後にカリフォルニア州選出の上院議員、ロナルド・レーガンはカリフォルニア州知事からアメリカ合衆国大統領になった人物です。全曲を作詞・作曲したアーヴィング・バーリン本人がフィナーレに登場して歌いました。『ヤンキー・ドゥードル・ダンディ』のマイケル・カーティスが監督を担当。

 今回はジョーンのコラムなのでレヴュー・ナンバーはほどほどにドラマの部分だけに集中しました。ハリウッド映画らしいロマンチックな恋人同士をロナルドとジョーンが演じるのですが、戦争を理由に結婚する事が出来ない役柄なのでお2人が登場すると喧嘩ばかりで場面が暗くなってしまうのが残念。とびきり笑顔が素敵なカップルなのでもう少し明るいシナリオにするべきだったのでは、と思いました。
 映画は2つの大戦をバックグラウンドにしているのに実に分かり易く進行します。登場人物の紹介や兵隊達への伝達場面など、マイケル・カーティス監督にかかるといちいち説明抜きでテンポ良く「なるほど」と観客に納得させてしまうのは流石だと思いました。ワーナー映画の脇役俳優達がめちゃめちゃ上手いから説得力があるのも当然なのでしょうが。
 また、後年ワーナー映画で大活躍することになるタップダンサーのジーン・ネルソンがダンス・ナンバー以外にアクロバット場面や兵隊達の行進に度々登場しているのも嬉しい発見でした。
 第2次世界大戦終結の1945年の時点でアメリカ国内の映画興行成績の1位が『風と共に去りぬ』、つづく2位がこの『ディス・イズ・ジ・アーミー』でした。

『サンク・ユア・ラッキー・スター』(1943)
 映画の都ハリウッドを舞台にワーナー映画の大スター達がゲスト出演するオールスター・キャスト映画です。ベティ・デイビス、アン・シェリダン、エロール・フリン、ジョン・ガーフィールド、アイダ・ルピノ、オリヴィア・デ・ハヴィランドらドラマの俳優達が歌って踊らされます。ハンフリー・ボガートだけは流石に歌わず軽いコメディ場面だけでした。
 私はワーナー映画のバイプレーヤーであるジャック・カースンとアラン・ヘイルのヴォードビル風のデュエットが大好きで、自分もこんな軽くて心地よいタップダンスを踊ってみたいものだ、と思いながら未だ実現してません。

 ストーリー部分をコメディアンのエディ・キャンター、ジョーン・レスリーそしてデニス・モーガンが担当。この作品でのジョーンは楽しい場面も多く活躍します。特にジェームズ・キャグニーの物真似は傑作!凄い才能です。ミュージカル・ナンバーでのデニス・モーガンとのコンビは良いのにジョーンの歌が吹き替えなのが勿体ない。ワーナーがジョーンをミュージカル・スターとして育てきれなかったのはやはり歌えなかったからに違いありません。

『ハリウッド玉手箱』(1944)
 戦時中、アメリカの兵隊達が楽しい休暇を過ごせるようにとハリウッド・キャンティーンという娯楽施設を開設しました。この作品の舞台であります。ハリウッド映画のスター達が手伝いに来るのがセールス・ポイントでしたが、この作品の様に兵隊とスターが恋に落ちるなんて事だけは無かったとか。先の『サンク・ユア・ラッキー・スター』と同じくベティ・デイビスを始めとするワーナー映画のスター達が沢山出演するオールスター・キャスト映画ですが、ミュージカル・ナンバーを担当するのが本職の歌手、ダンサー、演奏家達なので残念ながらかくし芸的サプライズはありません。唯一、ヴァイオリニストのヨセフ・シゲッティがコメディアンのジャック・ベニーと共演してしまう場面はたまげましたが。

 兵士のロバート・ハットンが南太平洋の戦地で『虚栄の花』を観て一躍ジョーン・レスリーの大ファンになりハリウッドにやって来てジョーンと恋をする、というフィクションです。吹き替えのジョーンが歌う“スイート・ドリームス・スイートハート”が戦後の日本でもヒットしました。ワーナー映画のスター達が続々脇役出演するのにジョーンだけが中々出て来ない!というスペシャルな扱いです。まだ19歳になったばかりなのに。人生を急ぎすぎた様な気もしますね。
 ロバート・ハットンの相棒デーン・クラークが恋をするジャニス・ペイジは本物のハリウッド・キャンティーンで映画界にスカウトされたラッキー・ガール、99歳で存命中です!

 つづく

天野 俊哉



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