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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.190 日本を舞台にした変なハリウッド映画 戦前・戦中の巻
その1「愛のアルバム」(1941)
 戦前、ロマンティックなコンビとして人気のあったケイリー・グラントとアイリーン・ダンが主演、「シェーン」など名作の多いジョージ・スティーブンスが監督した恋愛映画。
 映画の前半、C.グラント扮する新聞記者が、日本の特派員として来日します。舞台となる屋敷は文字通りハリウッドの撮影所にドーンと建てられたセットそのもので、生活感が全くありません。赤坂のホテルから見たような日本庭園が広がっており大きな白い鳥までいます。ハウスキーパーとして雇われている日本人家族だけが日本語を話しています。驚いたのは、関東大震災ばりの地震が起きてそのセットがバラバラになってしまうという、無理やりなストーリー展開です。いくら地震の多い国とはいえ、そこまでしなくてもね・・・この地震のせいで奥さん役のI.ダンが流産してしまいます。映画はそのあと、私の最も嫌いな展開をし続けます。
 C.グラントは「Destination Tokyo」(1943)で潜水艦に乗って東京湾までやってきた後、「歩け、走るな」(1966)では東京ロケのため本当に来日しています。東京オリンピック当時のおだやかな東京を舞台にした面白い映画でした。
写真上から 日本の子供たち/庭園/地震




その2「東京スパイ大作戦」(1945)
 戦争中、ハリウッドで山ほど作られた反日本映画の一つです。劇場未公開なので1980年代ビデオ発売された時のタイトルです。原題が「日の丸を血に染めて」ですから、随分とイメージの違うタイトルに変身させたものですね。
 1930年年代ハリウッドで最も人気のあったジェームズ・キャグニー(Y'sコラムVol.66)が、戦前の東京で軍に立ち向かうという無理のあるストーリーで、見るべきは当時のアメリカ人が描いた奇妙な日本だけです。
 全篇を流れる音楽は、ドラが鳴ったり、中国っぽいアレンジですが、ときどき「さくら」が挿入されたりするのは芸が細かいのか、細かくないのか・・・
 さて、メインになる屋敷は「愛のアルバム」と同じ日本庭園を備えており、家主を始め皆、家の中でも靴を履いたままです。キャグニーがつかる風呂場が「千と千尋の神隠し」に出て来る湯屋みたいでユニーク。また、部屋に昭和天皇の写真が飾ってあるのも凄すぎる!これらの室内セットがアカデミー**賞を受賞したというからお笑いです。
 キャグニー以外のスターたちが目を吊り上げたメイクで日本人(東条英機ほか)を演じていますが。体がでかくてねエ。日本巡査の役者なんて190cmはあります。その日本人巡査とキャグニーが柔道とボクシングをミックスした殺陣で戦うシーンが見せ場になっており、ここは良い出来です。
 この作品には、当時差別語であった「Jap」も出てきません。台詞の中でも「すべての日本人が悪いわけではない」といったニュアンスが感じられます。実生活で日本人から柔道を習っていたキャグニー(プロデュースも兼ねている)らしい気遣い、理解が、作品に反映されている気がします。
写真上から 柔道/フロ/靴のまま/ハラキリ

天野 俊哉






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