TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1896 ジェーン・パウエル追悼(そのD)
『スモール・タウン・ガール』(1953)
 田舎町の人々が日曜日朝の教会に向かう姿から始まるジョー・パスタナック製作の保守的な作品。もちろん主演はジェーンですが、共演のアン・ミラーにバズビー・バークレー創作の派手で奇抜なタップの見せ場を、これがデビューのボビー・ヴァンに町中をピョンピョン跳びながら移動する個性的な見せ場を持って行かれてしまいました。それでもジェーンがボビー・ヴァンと普通の声で歌い、速いタップ・ダンスを見せる“ファイン・ファイン・ファイン”は彼女のベスト・ナンバーのひとつだと思います。ジェーンの恋人役のファーリー・グレンジャーはハンサムですが歌わないので活躍の場がほとんどありませんでした。

『スリー・セイラーズ・アンド・ア・ガール』(1953)
 ジェーンがワーナー映画に貸し出されて主演したミュージカルですが、歌のゴードン・マクレエと踊りのジーン・ネルソンという最高のパートナーに巡り会えたのはジェーンのキャリアで特筆すべき事です。プロデューサーを務めた作詞のサミー・カーンと作曲のサミー・フェインの音楽も当時としては新しい感覚だし、ジェーンの歌も後年のブロードウェイで成功する実力を備えています。保守的なMGMでは封印されていた年相応のアメリカ女性を演じられて楽しそう。また、ジーン・ネルソンが振付したであろう難しいタップナンバーも軽快にこなしてジェーンの魅力が全開。映画の最後に名優バート・ランカスターがチラッとゲスト出演して笑わせてくれました。

『掠奪された七人の花嫁』(1954)
 MGMミュージカルの、そしてジェーンの代表作のひとつです。製作はジャック・カミングス、監督はスタンリー・ドネン、振付はマイケル・キッド。ジェーンの歌のパートナーにハワード・キール、ラス・タンブリンやトミー・ロールらMGMの若いミュージカル・スター達がたくさん共演してます。オープニングでジェーンが歌う“ワンダフル、ワンダフル・デイ”、ジェーンが弟たちと歌う“ゴイン・コティン”をはじめ名ナンバーが目白押しです。14歳の時MGMミュージカルのサントラ盤LPレコードのシリーズを買う為に銭湯でアルバイトをしたのが懐かしいです。
 コラムVol.77でタップダンサー仲間の松本晋一さんが振付のマイケル・キッドについて書いてくれてますので是非ご一読下さいね。

『艦隊は踊る』(1955)
 ジョー・パスタナック製作のミュージカル大作。サンフランシスコに上陸した3人の水兵の恋物語で、ジェーンとヴィック・ダモン、アン・ミラーとトニー・マーティン、デビー・レイノルズとラス・タンブリンがペアを組みます。振付にハーメス・パンというのも嬉しい。ジェーンがMGMで主演した最後のミュージカル映画になりました。

 ジェーンは映画スター時代の後、テレビを経てブロードウェイのミュージカル『アイリーン』でも大成功しました。
 晩年もコンサートに招かれて往年のヒット曲を歌うなど隠居しませんでした。近年YouTubeではジェーン・パウエルの映画スターとしてのバイオグラフィー、ミュージカル映画の歌う場面、インタビュー映像など盛り沢山ですのでこの機会に是非一度チェックしてみて頂けると嬉しいです。
 MGMミュージカル黄金時代を飾った最後の大スター、ジェーン・パウエルのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉



Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.