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Vol.1872 OSK日本歌劇団2021レビュー夏のおどり
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2014年秋の三越劇場、2016年初夏の新橋演舞場、2019年春の新橋演舞場以来3回目のOSK日本歌劇団公演を観に新橋演舞場まで出掛けました。不思議なのは毎回訪れる度にいわゆるトップスターと呼ばれる方が変わっている事。私の興味は構成・演出・振付を担当する平澤智氏の方なので実のところ誰がトップ・スターであっても構いません。平澤氏と言えばかつては玉野和典氏、本間憲一氏らとタップダンス・ショー『Shoes On』のレギュラー・ダンサーとして活躍されてました。現在では宝塚歌劇団の振付師として活躍されています。宝塚歌劇団には専属の演出家が沢山おりますので、振付師がそれ以上の仕事を兼ねることは不可能。よって同じ関西のレビュー劇団であるOSK日本歌劇団での演出となった様です。それでもチラシを拝見すると他にもKAORIalive氏、SHUN氏(タップダンス界の方とは別)、中山菜氏らの名前もあるので共同作業なのでしょう。ただこの顔ぶれでレビューが創れるものなのかは未知数であります。と、ここまでの文章が前回のコラムVol.1597とほとんど同じであることにがく然!
さて、前回は入場料をケチって3階から見下ろす席で大いに後悔したので今回は1階の、しかも花道の横の席をゲットしました。ゲットした,と言っても私が劇場窓口を訪ねた時に残っていた座席はその一席だけでした。数年に一度しか東上しないOSKは松竹がバックアップしているせいか、東京でも中々の集客力があるようです。それとも新橋演舞場での開催という老舗劇場の強みからでしょうか?
今回の公演は新しいトップスターやんりんさんのお披露目なのでタイトルが『STARt』(始まり)。ただ最後のTの文字だけが小文字になっていますね。
さて、内容ですが第1幕が和物ではないので全編フルにダンス公演の様です。平澤氏はダンスだけで観客を引っ張ってゆけるのでしょうか?
第1幕の最初はナイトクラブのセット、イスと丸テーブルが2組置かれただけの比較的簡素なスタートでしたが、ダンサブルな演出は私好み。男役さんはスーツ、女役さんはゴールド、赤、黒のラメの入ったワンピースであくまでダンスで勝負。4曲15分近く続く平澤氏の振付力が効いた場面になりました。“運命”をアレンジした曲でピンで浮かび上がるのが前トップ・スターの桐生さん。次いで新しいトップ・スターのやんりんさんが登場。 「後は君に任せたよ!」みたいな振りを残し桐生さん場面の途中でフェード・アウトしてしまう。これがOSKスタイルなんすね?意外。次いで華やかな色の衣裳を着た沢山の女役さんに囲まれたスーパーマン、マイケル・ジャクソン、エルビス・プレスリーらヒーローによるコミカルなナンバー。中々楽しめる場面でした。そして《風》がテーマの平澤氏お得意のコンテンポラリー・ダンスのナンバーで、宝塚を思わせる白の上下の衣裳。高度なテクニックを持ったダンサー達の動きがダンス好きを満足させてくれます。第1幕は45分でサッと切り上げてしまいました。この第1幕は平澤氏が思い描いたレビューの世界を我々観客に魅せる事が出来たと私は思いました。
第2幕では舞台上にセットされ、レイアウトされた階段が回り舞台を使って色々な見せ方をしたり、何よりも振付に幅を持たせ、ハリウッド・ミュージカル映画での豪華なレビュー場面を彷彿とさせたのは演出の上手さ。衣裳は多くが色々な色の燕尾服とドレスで統一してありました。ただ“ブロードウェイ・リズム”や“ザッツ・エンタテインメント”を1曲ずつ歌い踊って見せてゆく流れがレビューというよりはショーっぽくなりすぎた様に私は感じました。ただポピュラー・ソング、ミュージカル・ソング、ジャズをはじめ有名な曲を並べた選曲はお客様に親切だと思いました。また、女役さんがパープルのドレスを着て踊るナンバーの曲が妙にこの新橋演舞場にピッタリなのでずっと何の曲だったかな?と頭をひねっていたら何と李香蘭が歌った“夜来香”でした。さらにトップさんと男役さん達の黒燕尾服のナンバーでは三味線をベースに尺八やストリングスが絡む面白い楽器編成の曲で静けさの中での踊りも素敵でした。フィナーレに続いて出演者全員が手にピンクのパラソルを持って歌う“桜咲く国”でお別れしました。
第2幕も45分の観やすい公演でした。
せっかく花道横の席を買ったのに最後まで花道を使う場面は無くて飾りだけの存在でした。物凄く綺麗にみがかれてあったので、和物で足袋をはいた演者さんしか通れない禁断のエリアなのでしょう。
それがちょっと残念でした。
天野 俊哉
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