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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1793 もうすぐ生誕100年アン・ミラー〜ハリウッドが誇る女性タップ・ダンサーB
 コロンビア映画の社長ハリー・コーンは、ようやく20歳になったアンをミュージカル映画の主役としてパラマウント映画から呼び戻します。製作された8本のミュージカルは確かにバラエティには富んでますが、コーン社長が本気でアンをスターに育てよう!とは思っていなかった様な気がします。

『レヴェル・ウィズ・ベヴァリー』(1943)
 ジャズ映画としては横綱級の作品。それゆえ1970年代にサウンド・トラック盤のレコード(後にCDも)が発売されました。
 で、その顔触れは
デューク・エリントン楽団
カウント・ベイシー楽団
フレディー・スラック楽団
ボブ・クロスビー楽団
エラ・メイ・モース
ミルス・ブラザーズ
フランク・シナトラetc.
 この作品でボブ・クロスビー楽団が演奏した有名な“ビッグ・ノイズ・フロム・ウィネッカ”は『2019年の東京リズム劇場』で冨田かおる先生とみすみ“Smilie”ゆきこ先生をフィーチャーして、男性タップ・ダンサーズがバックを務めた松本晋一さん振付のプロダクション・ナンバーで使用された曲です。
 関西の末富凛太朗さんと私が各々の理由で外れたので長身の女性ふたり、簗瀬あずささんと首藤直子さんが駆り出されてしまった!という申し訳ないけど懐かしいエピソードがあります。
 反省。
 アンの役はラジオのDJ、彼女がレコードをかけるとアーティスト達が画面に登場して歌ったり演奏したりします。肝心のタップはフィナーレに“V・フォー・ヴィクトリー”が1曲あるだけ。タップのステップよりもアンのシャープなポーズやナンバーの演出が際立ってます。

『ホワッツ・バズン・カズン』(1943)
 ビッグ・バンド全盛期に人気の高かったスイーツ・バンドのフレディ・マーティン楽団をフィーチャー。アン・ミラーのまわりをエディ・ロチェスター・アンダーソンら賑やかな芸人が脇を固めている。また、ニック・カッスルが振付を担当しているのでたった2曲でもアンのタップは楽しめます。フレディ・マーティン楽団との掛け合いをメインにしたブギのナンバーを見ると後年のアンのダイナミックなスタイルは既に出来上がっています。フィナーレでアンとコーラス・ガールズが歌い踊るプロダクション・ナンバーのタイトル“$18.75”とは、第2次大戦中のアメリカの劇場で販売されていた戦時国債の金額の事。ここでのアンの衣裳が素晴らしい!ナンバーの最後に紙を破ってアンが飛び出してくる演出が良かった!

『ヘイ・ルーキー』(1944)
 1943年にLAで上演された人気ステージの映画化。兵隊による兵隊の為のショーとか。物凄いスピードでタップを踏むコンドス・ブラザーズがゲストなので「もしかしたらアンと3人で踊るかも?」と大いに期待しましたが見事に当てが外れました。映画が始まって直ぐ兵舎の食堂みたいな所でステップを踏み出すコンドス・ブラザーズはゲストとは思えない位のチープな扱いでした。一応主役のアンはえらく出番が少ないしダンスの少なさも記録に残ります。アンがビル・ショーンという無名のダンサーと裏庭みたいなセットで踊るデュエット・ダンスは照明の暗さが幸いしてアンの相手が時にアステアに見えたり、ケリーに見えたりしました。ヴァル・ラセットの振付がロマンティックな味を出していました。また、ショー場面での男性とのデュエット・ソングが素敵でした。ただプロダクション・ナンバーの代わりに冴えないアラビアン・ナイトのダンスとは?

『キャロライナ・ブルース』(1944)
 アンが第2次世界大戦中の当時に人気の高かったビッグ・バンド・リーダーのケイ・カイサーと主演したこのミュージカルでも何故かアンのタップは活かされてません。ただしゲストのハロルド・ニコラス、フォー・ステップ・ブラザーズら有名なタップ・ダンサーが素晴らしい活躍を見せます。
 この作品がDVD発売された時に書いたコラム(Vol.295)にアンのタップダンスシーンについて書いてありますのでぜひそちらもご覧下さいね。

天野 俊哉



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