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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1786 もうすぐ生誕100年〜京マチ子さん
 現在テレビ放送中のドラマ『黒革の手帖』に主演の武井咲さんの和服姿が実に艶っぽくて現代の若手女優さんも捨てた物ではない、と感心してしまう今日この頃であります。

 数年前に亡くなった往年の大映映画のスター女優の京マチ子さんも和服姿が多かったものです。追悼コラム(Vol.1606)では京さんの出演作品に全く触れることが出来ず、間の抜けた内容で終始してしまいましたが、その後数本の主演作品に接しましたので今回はエピソードではなく《女優・京マチ子》を少しだけ語りたいと思います。
 京マチ子さんは、大阪松竹歌劇団(OSK)のダンシング・スターから永田雅一という名物社長率いる大映映画に入社し長いこと女性のトップスターでした。グラマラスな肢体と関西弁が魅力の京さんの代表作は黒澤明監督の名作『羅生門』と言われてますが、何度観ても三船敏郎さんしか記憶に残らないのです。

 昨年末、大映で製作された『忠臣蔵』がテレビ放映されてました。1958年当時の大映映画のスター総出演の豪華版でした。ボーッと観ていたら大石内蔵助の仇である吉良上野介派の隠密を演じる京さんが沢山の女優さんの中でも特に光っていました。そうそう、テレビ版の忠臣蔵では宝塚男役出身の上月晃さんが格好よく演じてました!
 文豪・谷崎潤一郎の文芸大作『細雪』は今まで高峰秀子さん主演版、吉永小百合さん主演版など3度映画化されていますが、京さん主演の1959年大映版が芦屋の雰囲気を出した物では最高でした。四姉妹の轟夕起子さん、山本富士子さん、叶順子さんらが役にしっとりハマっていたからです。

 やはり和服姿が圧倒的存在感の京マチ子さんですが、意外な作品だったのが江戸川乱歩原作の『黒蜥蜴』でした。まずスタッフが凄くてオープニング・タイトルを見返してしまいました。
 監督/井上梅次
 劇化・作詞/三島由紀夫
 脚本/新藤兼人
 音楽/黛敏郎
 名探偵・明智小五郎と緑川夫人に姿を変えた黒蜥蜴の宝石と令嬢をめぐる対決。昭和の探偵ものゆえ古めかしさはあるものの、京さん演じる黒蜥蜴は非常に新しい感覚なのが驚きです。オープニングのタイトル・バックに映し出される全身黒タイツにムチを持ったグラマラスな京さんのダンスと明智を欺く為に京さんが男装して逃げるダンス(振付/飛鳥亮)が見事。
 三島由紀夫氏が作詞した歌の数々が意外にも分かりやすくて笑ってしまいました。音楽もコーラスも私が少年時代に大好きだったアニメ『妖怪人間ベム』の主題歌に似ていて嬉しくなりました。また、黒蜥蜴の家来達や令嬢の用心棒達のまさかのダンス・ナンバーが笑える!彼らはツー・ステップスとかトリオ・ステッバーズなるプロのダンサーらしい。死んだ人間達の剥製が踊り出すアングラ趣味のダンス・ナンバーがオープニングのダンスと同じで楽しめました。京さんの黒蜥蜴が素晴らしいので大木実さん演じる明智小五郎が完敗してしまった!

 今回はもうすぐ生誕100年を迎える和服美人の女優、京マチ子さんを取り上げました。

天野 俊哉



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