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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1747 石原裕次郎主演のミュージカル映画
 昭和の大スター石原裕次郎さんが亡くなって30年。石原記念館の閉館、石原プロモーションの解散、そして渡哲也さんの死去など時の流れを感じさせる昨今であります。先日、その渡哲也さんが亡くなられても追悼コラムが書けませんでした。何故か?わたくし日本映画の黄金時代の名シリーズをほとんど観ていないのですね。東映の任侠もの、東宝のサラリーマンものや若大将映画、大映の座頭市もの、そして石原裕次郎さん渡哲也さんが大暴れする日活アクションなどです。松竹映画の『男はつらいよ』シリーズも再び10作目辺りで挫折しました。私にはテレビドラマを思わせるこうしたシリーズものがダメなのかも知れませんね。

 つい最近、書店で販売されている《石原裕次郎DVDシリーズ》を眺めていたら『嵐を呼ぶ男』等の日活アクション映画と共に『素晴らしき男性』なる映画がありました。当時の日本ミュージカル映画をひとりで背負っていた井上梅次監督(追悼コラムVol.165)作品なのであまり期待せずに購入したのですが、最高にエンジョイしました。その理由ですが、まず井上監督定番のお父さん&三人娘の舞台裏ミュージカルでない事、歌手やダンサーやゲストスターに頼らずにメインキャストだけで歌い踊りきる事。何となく『東京リズム劇場』の世界観に近いかも?
 北原三枝さんと白木マリさんはダンサー出身、月丘夢路さんは宝塚出身、柳沢真一さんと笈田敏夫さんは歌手ですが、石原裕次郎さん西村晃さんは普通に俳優。これらのキャスト全員をまとめあげた、出演も兼ねている振付師の結城敬二さんの指導の賜物と言えます。カラーの大型スクリーンに映し出される裕次郎さんて凄かったんでしょうね。歌わせても踊らせても見事だし、スタイル抜群でスターのオーラが半端無い!七曲署のボスのイメージしかなくて。もっと勉強しなくちゃ。反省。

 この作品が製作されたのが私が生まれる前の1958年、その後日活映画はアクション映画等の製作を止めてしまいましたのでキャストの方々もそれぞれの世界で活躍を。ちなみに私が知ってるその後1970年代以降の姿を。

《金子信雄さん》
 この映画ではヴァイオリンケースを抱え気取ってしかも髪の毛がフサフサです。
 派手なエプロンを掛けてスキンヘッドで豪快に喋りながら料理をするのが私の知る金子信雄さん。

《西村晃さん》
 刑事ドラマでは魅力的な悪役が多かったのに最後はご存じ水戸黄門さま。

《柳沢真一さん》
 アメリカの人気テレビシリーズ『奥さまは魔女』で可愛い魔女サマンサと結婚する人間の男性ダーリン、その日本語吹替えを担当していたのが柳沢真一さん。

《三島雅夫さん》
 栗原小巻さん主演の人気テレビシリーズ『三人家族』で小巻さんの恋人役の竹脇無我さんのお父さん役が三島雅夫さん。

《大坂志郎さん》
 『パパと呼ばないで』で石立鉄男さんが子役時代の杉田かおるさんと下宿させてもらうお米やさんのご主人が大坂志郎さん。大原麗子さんのお父さん役なんかもありました。

《山岡久乃さん》
 映画ではホテルのアーケードでブティックを開いているモダンな女性。人気テレビドラマ『ありがとう』で水前寺清子さんのお母さん役が最大の当たり役。日本を代表するお母さん女優に。

《笈田敏夫さん》
 ちょっと人相が悪いけど昔の日本にはこんな雰囲気の男性が多かった。中年以降はロマンスグレーの素敵なおじさまムードを持っておられました。俳優というよりもジャズ歌手の印象が強い方です。
 2001年頃、ジャズ評論家の瀬川昌久先生のお誘いで新宿厚生年金会館大ホールで開催された『チャリティ・コンサート/懐かしの映画音楽アルバム』に淺野康子さんと出演させて頂いた時のゲストが宝塚OGの眞帆志ぶきさんと笈田敏夫さんでした。「こんな経験はもう二度と無い!」と思ったのでお二方のリハーサルをのぞき見しました。舞台の下手袖に立って待機。最初に現れたのが眞帆志ぶきさん。衣裳はハンガーにぶら下げたものを付人の方がずっと持ったまま。眞帆さんは宝塚時代の当たり役『ノバ・ボサ・ノバ』の“シナーマン”を歌い上げました。客席には誰もいないので袖の私だけの為に歌って下さった?と勝手に思い込む。
 次に現れた笈田敏夫さん。ダンディでスマートな紳士、映画『嵐を呼ぶ男』のチンピラ・ドラマーのイメージは皆無。ハンドマイクを手に何を歌われたのか全く記憶がありません。自分もこんな歳の取り方をしたいな、と思いました。凄いのは客席なんか見ないのです!だって誰もいないから。ずっとバンドさんの方を向いてニコニコ歌われてました。右に行ったり左に行ったりして。なんか優しい人だなと感動しました。

 テレビでも滅多に放映されませんので興味のある方は書店にてどうぞ。

天野 俊哉



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