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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1734 2020年夏の追悼
《森崎東監督》
 松竹映画でコメディ作品をたくさん監督してきた森崎東さんが亡くなりました。
 森崎監督と言えばシリーズ第3作目『男はつらいよ フーテンの寅』(1970)の監督としても有名です。『男はつらいよ』シリーズは本来なら山田洋次さんが監督かと思いきや、2作目でシリーズを終了させるつもりだった山田監督から「脚本には参加するから監督は森崎さんで」ということで、TVドラマ版『男はつらいよ』と映画版の第一作に脚本で参加していた森崎監督がメガホンを取ることになったそうです。
 保守的な山田監督作品と違うのは森崎監督作品はより人間臭い事です。監督デビュー作の『喜劇 女は度胸』(1969)や『喜劇 男は愛嬌』(1970)での昭和40年代のあか抜けない京急蒲田や羽田や三浦市を舞台にしたコメディで自分のスタイルを活かしたのです。女っぽさ全開の倍賞美津子さんをヒロインにした作品創りがイキイキしておりました。主演の渥美清さんも寅さんの様なよい人ではなく、簡単に女を騙してしまうような悪を気持ちよく演じてました。テンポも良かったです。森崎監督の代表作はなんといっても渡瀬恒彦さん夏目雅子さん主演の『時代屋の女房』(1983)でしょう。映画の舞台となった大井町の映画館で観たきりなのですが、暖かいけれどしんみりさせる映画でした。
 森崎東監督のご冥福をお祈りいたします。

《ジャンメール》
 1950年代のハリウッド映画でほどほどに活躍したフランスのバレリーナ、ジジ・ジャンメールが96歳で亡くなりました。振付の大御所ローラン・プティの奥さんでもありました。ジャンメールはイギリスの人気バレリーナ、モイラ・シアラーの様なロング・ヘアではなく当時としては珍しいボーイッシュなショート・ヘア。体が大きかったのでそのヘアスタイルはとてもバランスが良かったのです。現代的なイメージの強いジャンメールでしたので、ハリウッド・デビュー作で、ダニー・ケイと主演した『アンデルセン物語』(1952)のようなメルヘンチックなミュージカルは全く似合ってませんでした。
 逆にビング・クロスビー、ドナルド・オコンナー、ミッチー・ゲイナーみたいなバリバリのアメリカン・エンタテイナー達と競演した『夜は夜もすがら』(1956)はそんな現代的なジャンメールにぴったりで彼らに全くひけを取りませんでした。ニック・カッスルが振付したジャンメールが男性ダンサーを引き連れて踊るナンバー“I Get a Kick Out of You”が素晴らしい!松本晋一さんによるとこのナンバーでのジャンメールの動きはご主人のローラン・プティによるものだそうです。納得。ちなみにこのミュージカル映画の監督はロバート・ルイス。『ジーグフェルド・フォーリーズ』(1944)のフレッド・アステアの場面でルシル・ブレマーを侍らす中国人を憎々しげに演じたお方であります。
 ジャンメールがアメリカのシド・チャリース、イギリスのモイラ・シアラーらと主演したバレエ映画『ブラック・タイツ』(1961)に関してはローラン・プティ追悼コラム(Vol.257)に詳しく書きましたのでそちらをご覧下さいね。
 今ごろは天国でご主人と素敵なデュエットを踊っている事でしょう。
 ジャンメールのご冥福をお祈りいたします。

《三浦春馬さん》
 俳優の三浦春馬さんが30歳の若さで亡くなりました。NHKで放送中の海外旅番組『世界はほしいモノにあふれてる』に歌手のJUJUさんとレギュラー出演しており私もよく観てましたのでびっくりしてしまいました。ドラマとは無縁の私ですが、それでもかなり前に『14才の母』『ブラッディ・マンディ』『ぼくのいた時間』というドラマは毎回欠かさず観ていました。当時も今回亡くなってから流れたニュース映像やインタビュー映像を見て感じるのは見る度に印象の変わる人だな、という事。常にストイックだったのでしょうね。繊細な方だったとも言われています。
 私とは真逆です。
 今度生まれ変わったら私みたいにもっと気楽に生きて人生を楽しんで欲しいな、と思いました。
 三浦春馬さんのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉



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