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Vol.257 ハリウッド映画でのローラン・プティ
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フランス・バレエ界の大御所ローラン・プティ氏が、7月10日87歳で亡くなりました。自身が出演し振付を担当した周防正行監督の「ダンシング・チャップリン」が最後の作品となりました(9月23日DVD発売)。
さて、私はプティ氏を語れるほどバレエに精通しているわけでは無いのですが、今回ペンをとったのは、プティ氏がハリウッドで振付を担当したミュージカル映画をすでに高校生の頃見ているからです。
「アンデルセン物語」(1952)ダニー・ケイ、ジャンメール
「ガラスの靴」(1955)レスリー・キャロン
「足ながおじさん」(1955)フレッド・アステア、レスリー・キャロン
「夜は夜もすがら」(1956)ビング・クロスビー、ジャンメール
「ブラック・タイツ」(1961)シド・チャリース、モイラ・シアラー、ジャンメール
ハリウッドでの仕事はアステアやクロスビーのダンス・ナンバーではなく、主にジャンメール(プティ夫人)や、L.キャロンを中心としたバレエの振り付けです。私は身体が大きくて愛くるしさのないジャンメールを女優として受けとめることが出来なかったので、ちょっと点数が辛いです。ただ皆さんの意見は違うと思うので、とりあえず手に入りやすい「アンデルセン物語」を一度見てください。
今回注目したいのが「ブラック・タイツ」です。これはプティ氏の4つのバレエで構成された2時間のバレエ映画です。4つのバレエの主演がそれぞれアメリカのシド・チャリース(ブリガドーン、雨に唄えば)、イギリスのモイラ・シアラー(赤い靴、ホフマン物語)、そしてフランスのジャンメール(プティ夫人)です。よくこれだけのキャスティングができたものです。しかも若き日のプティ氏は振付だけでなく3人の美しきプリマの相手役としてわざわざ登場し、たっぷり踊っているのです。ずるいですね。司会にあのモーリス・シュバリエ、衣裳がイブ・サンローランと、クリスチャン・ディオール。ただ、監督が「007」や「レッド・サン」のテレンス・ヤングというのが唯一の疑問です。「ブラック・タイツ」でのジャンメールは、変にハリウッドナイズされずプティ作品を踊るプリマとしての存在なので、他のどの映画よりも魅力的です。彼女が主演したエピソードでの、パリの警官達の動きがとても楽しく見事です。
「ブラック・タイツ」は早くから版権の切れた作品なので、何種類かの輸入盤DVDが発売されています。ローラン・プティ追悼にはもってこいの作品ですよ。
天野 俊哉
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