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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1714 映画三昧の日々〜ハリウッドの戦争映画
 外出自粛を余儀なくされてるタップ・ダンサーの皆さんが動画配信などを前向きにされてる中、ひたすら映画三昧の天野です。何を隠そうタップ・ダンスのインストラクターになる寸前まで映画関係の仕事に就きたかったので、映画鑑賞は宿命みたいなものなのですね。悪しからず。
 今回は最近DVDで観たハリウッド製の戦争映画DVDから。

『始めか終わりか』(1947)
 特撮映画の古典『宇宙戦争』(1953)のコラムで火星人退治の為にアメリカが原子爆弾を使用した事は書きました。広島と長崎に原爆が投下されてから75年経ちますがアメリカ人の原爆に対する意識の低さはあまり変わっていないはずです。終戦直後のハリウッドで、しかもファミリー路線の映画会社のMGMで製作された『始めか終わりか』の存在にはかなり驚いたものです。しかも監督がフレッド・アステアのミュージカルの名作『踊るニュウヨーク』のノーマン・タウログとは何ぞや?「ドイツのヒトラーよりも先に原子爆弾を開発するしかない」と、時の大統領フランクリン・D・ルーズベルトより指示されたアメリカの科学者達が原爆を製造し、日本に投下するまでを描いたドキュメンタリー・タッチの作品。科学映画とか歴史映画の観点で観れば良いのかも知れませんが、原爆を正当化しようとしている戦後のアメリカに嫌悪を感じるだけでした。

『The Hitler Gang』(1944)
 ナチス・ドイツと交戦中の1944年にハリウッドで製作されたアドルフ・ヒトラーの伝記映画。当然ヒトラーの著書「我が闘争」がベースにあると思われますが、脚本のアルバート・ハケット&フランセス・グットリッチ(後に『素晴らしき哉人生』『イースター・パレード』『花嫁の父』等の名作の数々を書く名コンビ)によりキビキビしたドキュメンタリー・タッチの作品として成功しています。ヒトラーを演じたチョビ髭の俳優がチャップリンにしか見えない?とかのマイナスはありますが、ゲッペルス、ヘス、ヒムラー、ストラッサーら実在のナチスの要人がどうヒトラーと絡んだのか?が実にテンポ良く見せているのです。今日に至るまでアドルフ・ヒトラーの生涯を描いた作品は多いですが記憶に残る1本であります。

『東京上空三十秒』(1944)
 第2次世界大戦中にハリウッドで製作された戦争映画に登場する日本人を演じているのは片言の日本語を喋る中国人であり、ひたすら残虐な人種として描かれています。『Bataan』『Flying Tigers』『God is Co My Pilot』『Objective Burma』をはじめとする反日映画は今日のアクション映画とあまり変わらないのでここではドキュメンタリーに近い形で製作された作品を取り上げます。
 『東京上空三十秒』は1942年4月18日にドゥーリトル将軍率いるアメリカ空軍による初めての日本本土空襲を描いたMGMの大作。パール・ハーバー以降日本軍に負け続けていたアメリカ側の反撃作戦のひとつですが、今日では「一体何の為の作戦だったのか?」という記録が残されています。
 確かに太平洋上の空母ホーネットから飛び立った爆撃機は日本を空爆したのち上海、中国等に着陸してアメリカ側の人間に助けを求める!なんて無謀な計画だった訳ですからね。140分の長尺の中で興味深く見れるのが何と言っても1942年当時の東京上空からの実写で、最近全く見なくなったアドバルーンや走る自動車や低いビルの数々を低空飛行で撮影しています。

『The Purple Heart』(1944)
 ドゥーリトル東京空襲の後、爆撃機が墜落して日本軍の捕虜となり、ジュネーブ条約を無視し軍事裁判にかけられ死刑になった8名のアメリカ兵を描いた作品。20世紀FOXの社長ダリル・F・ザナック自らがペンを取った秀作のひとつ。1944年当時、アメリカから遠い彼方の日本の牢屋に閉じ込められた兵士の苦悩を映像化したのは流石ですし、日本の法廷、裁判官らの衣裳、牢獄、食器など美術や装置の創作も見事です。リーダーを演じたダナ・アンドリュースが裁判の最後に述べる「アメリカ軍による空襲で日本を焼き尽くす」というスピーチが現実のものとなったのが印象的でした。

 戦争の無い現在の日本は本当に素晴らしいですね。早くコロナが収束しますように!

 つづく。

天野 俊哉



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