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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1678 岩田映子さん増田千草さん大活躍の『AMTDC公演』
 『AMTDC』とはアメリカン・ミュージカル・シアターダンス・カンパニー・ジャパンの略。ブロードウェイで活躍のボブ・リチャード氏とダイアン・ローレンス氏を中心としたカンパニー。

 『AMTDC』はシアターダンス、ジャズダンスの魅力を映像からではなく、ボブ・フォッシーやグウェン・バードンから直接学んだダンサーであるボブ・リチャード氏とダイアン・ローレンス氏お2人から日本人のダンサー達へ指導するのだそうです。もう本格的、筋金入りですね。このカンパニーに『東京リズム劇場』でご一緒させて頂いた岩田映子さんと増田千草さんが在籍されている事から公演にうかがいました。20名の女性ダンサー、4名の男性ダンサーそしてピアニストの方、この顔ぶれから全編生のピアノ演奏で淡々とダンスが続くのかと思いきや実に華やかな音源を用いてのミュージカル・ナンバー、ブロードウェイ・ミュージカル名曲の歌、幅広い選曲でした。第1部にひとりの女性ダンサーに4人の男性ダンサーが絡む大人のショー場面の音楽は歌声が全てフランク・シナトラなのですが演奏は新しい?シナトラのそっくりさんの歌声なのかしらん。ネルソル・リドルのアレンジを思わせるブラスやストリングスの入り方とそんな音楽のアクセントを意識した振付が嬉しい。
 アンサンブルで見せる“Summertime”や“Too Darn Hot”のパワフルな動きに圧倒されました。また、オリジナルを知らないと取っ付きにくい『オクラホマ』のメドレーから“Surrey With the Fringe On Top”でさりげなくみせるアグネス・デ・ミルのスタイルにニヤリとしてしまいましたし、じっくり時間を使ったミュージカルへの挑戦が嬉しかったです。新旧のミュージカル作品をランダムに構成した事から若いダンサー、若い観客をも上手く惹き付ける事が出来たようです。

 この公演に先立ち『東京リズム劇場』の演出を手掛けてきた松本晋一さんから沢山のレアなダンス映像を観せて頂く機会がありました。アン・ミラー、ジジ・ジャンメール、アン・マーグレット、ミッチー・ゲイナー、チタ・リベラ、アン・ライキング、サンディ・ダンカンetc.いずれもアメリカを代表するショーウーマン達ですが、松本さんが選んで観せてくれるだけあって《オススメ》のポイントが絶妙でした。流石にこの人ブレていない!もっともっと舞台の振付して欲しい!
 そんななかでゾクゾクしたのが、例えばミッチー・ゲイナーのダンスの動きって振付師はどこまで指導したのかな?という部分でした。やっぱりフィーリングなんですね、ここは!最後はダンサーの持っているフィーリングが観客に伝わり、我々は感動するのですね。
 今回の公演でまさにこのショーウーマンの魅力満載だったのが岩田映子さんでした。震えがきました。
 オープニング場面では様々な衣裳の中、真っ赤なワンピースを着た岩田さんがまさかの無表情で登場、続く場面で『ジプシー』の名曲“Some People”を歌い上げました!岩田さんの歌声は《Warm and Tender》なのでとても聴きやすいな、と思いました。『キス・ミー・ケイト』の“Too Darn Hot”ではメインではないのに上半身の動きでこちらの目を釘付けに。本領を発揮したのが2部の後半、サミー・デイビスJr.の歌で有名な“Me&My Shadow”での手の動きなんか素晴らしすぎてもう言葉では表せない。ボブ・フォッシーを思わせる振付“Me &My Baby”ではコケティッシュな雰囲気で笑わせ、『ウィキッド』の“For Good”をデュエットで歌い、黒いワンピースの女性ダンサーがセクシーに踊る“Is You Is or Is You Ain't My Baby”まで私の頭の中では岩田さんとアン・ライキングやアン・マーグレットやチタ・リベラがシンクロして入り乱れていました。まさに彼女のフィーリングを堪能しました!

 さて、もうひとりの増田千草さんは2年前の今頃は私と都内の稽古場を転々としていたタップ仲間です。タップの舞台ではパンツ姿が多いのですが実は脚のラインが笑顔と共に素敵な方です。岩田映子さんを天才型としたら増田さんは努力型。舞台で見せるひとつひとつが努力の賜物なのです。タップの場面でも与えられたステップを丁寧に踏んでいるのが印象的でした。ダンスのナンバーでは岩田さんのシンメであったり、良いポジションで頑張ってました。私の観たところ、どう動いたら?と苦労していたのが『オクラホマ』の酒場の女、なんせ清純なローリーをいたぶる役ですからダンサーには難役でしたね。でも何とか乗り越えてくれた事でしょう!増田千草さん、これからの成長が楽しみな女性ダンサーであります。

 さて、渋谷の会場で久しぶりにみすみ“Smilie”ゆきこ先生とお会いできました。そしてまさかの本間窓奈さんとバッタリ。この公演でダンスキャプテンをつとめられてる太田花子さんがご友人との事。本間窓奈さんは1991年の『第1回ナショナル・タップ・デー』以来の友人。数年前にタップ界を引退されました。本間さんからはその時期に貴重なDVD映像をプレゼントして頂いたのでそのお礼を。その映像とは今や伝説の『ADM』公演(関連コラムVol.721)。
 『ADM』(アメリカン・ダンス・マシーン)は40年も前に存在したダンスの団体。ビデオが無い時代に往年の素晴らしい振付をダンサー達に踊らせて残してゆこう!という取り組みがあり凄く夢中になりました。主宰がリー・セオドア氏。協力者やメンバーにはグウェン・ヴァードン、ウェイン・シレントらがおり日本人のケンジ・ナカオ氏も在籍していました。日本でも3回公演を行い話題になりました。今や振付は映像で簡単に残せる時代になりADMの記憶も無くなりました。
 本間窓奈さんとこの様なシアターダンスの公演会場での再会はとても嬉しかったです。

 ともあれ『AMTDC』のこれからの活動に大いに期待したいと思います。皆さまお疲れ様でした!
※写真の掲載は承諾を得ています。

天野 俊哉



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