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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1593 宝塚歌劇星組公演(2019年3月)
 余談ですが、今使っているスマホが3月末で7年目に突入。確かにあちこちガタは来てますが、電話、メール、カメラの機能には何の支障も無くて携帯本来の役割は充分に果たせております。
 また、ネタバレがこわくて中々お伝え出来ない『東京リズム劇場』のお稽古も順調に進んでおります。頭の中は頂いた沢山の振付とお芝居の台詞で一杯でありますが、気分転換に東京宝塚劇場に出掛けました。何と!2019年宝塚初観劇となりました。

Once upon a time in Takarazuka
『霧深きエルベのほとり』
菊田一夫/作
上田久美子/潤色・演出

 菊田一夫氏って昔の人ですよね?『君の名は』みたいな有名なラジオのメロドラマを書いてました。ちょっと古めかしく感じます。
 宝塚での初演が1963年で、私は大学生の1983年頃に再演された物を旧東京宝塚劇場で観ました(関連コラムVol.1461をご参照)。昨年亡くなられた順みつきさんのサヨナラ公演でしたが、セットも衣裳も地味で、2階席の最前列でガッカリした記憶があります。おまけにその後のショーが全編大階段を下ろしっぱなしのせせこましいショー『オペラ・トロピカル』でした。
 近年、オリジナルで名作を創ってきた上田久美子氏がこんな古い題材を掘り起こしてリバイバルしたのは何故?私の興味はまさにその一点でした。
 今回、兵庫の宝塚大劇場での上演中に星組トップスターの紅ゆずるさんとトップ娘役の綺咲愛里さんの次回作品での退団が発表されたのですが、普通ならばこうした退団発表は東京公演終了後にするので、大劇場での入りがいまいち、リピーターが少ない、東京公演のチケットの伸び悩み(もちろん裏チケットの事ですが)では、なる噂もあります。

 さて『霧深きエルベのほとり』ですが、お話の真ん中位までは脚本の菊田一夫氏の感覚が昔の日本男児もろだしの《女は男の三歩後ろを歩け!》式の男尊女卑そのものだと思いました。「この21世紀に生きる日本女性の皆さんはどう思って観ているのか?」  舞台上の芝居と客席の断絶を感じてしまいました。
 ところが、後半に入り主人公が急に『男はつらいよ』の車寅次郎に見えてきました。啖呵を切ったり、大見得を張ったり、どこからどう見ても『男はつらいよ』ですよ。最後は泣く泣く愛する女性を諦める、泣かせどころも同じでした。長山藍子さんがマドンナを演じた『男はつらいよ望郷編』に全く同じ場面がありました。宝塚では主人公の紅ゆずるさんが酒場女の英真なおきさん相手に泣く場面が映画では京成線の柴又駅で車寅次郎役の渥美清さんが妹役の倍賞千恵子さん相手に泣く場面でした。
 でも菊田一夫氏の方が『男はつらいよ』よりも6年早いのですね。昭和のメロドラマとして見るぶんにはこの作品は普通だと、自然だと思いました。宝塚においては紅ゆずるさんでしか演じられない様なタイプの役柄でしたので、ある意味演出の上田久美子氏の狙いは当たったのかも知れません。

スーパー・レヴュー
『ESTRELLAS エストレージャス〜星たち〜』
中村暁/作・演出

 エストレージャスとはスペイン語で星々を意味するそうです。星組にぴったりのタイトル、雰囲気のはずですが。
 今回のレヴューで気になったのが
@出演者の客席に降りてくる回数
AJ Popの多さ
Bレーザー光線使用
C録音(オーケストラが演奏していない場面)
Dスターが少ない

 特にDに関しては、
 紅ゆずるさん
 綺咲愛里さん
 礼真琴さん
 七海ひろきさん
 瀬央ゆりあさん

 後は名前と顔が一致しないのです。もちろん、私の勉強不足かも知れません。ただ問題なのは、5人の内3人の方が年内に退団しまう事なのです。余計なお世話ですが、早いとこスターを育てないと劇場を満席に出来なくなりますね、マジで。

@“オープニング”(振付/若央りさ)
 主題歌を出演者全員で。さっそく客席降りが。
A“スターライトパレード”(振付/若央りさ)
 礼真琴さんがSEKAI NO OWARIの歌を銀僑で。
 “星のメドレー”
 七海ひろきさんらが平井堅、MISIA、flumpoolの歌を。
B“星夢”(振付/AYAKO)
 トップコンビによるドラマティックな場面。
C“Back!”(振付/百花沙里)
 礼真琴さんら若手男役がK PopのグループINFINITEの曲を。
D“アスタリスク・メドレー”(振付/御織ゆみ乃・百花沙里)
 有名な洋楽のメドレー。何故かここで登場するピアソラ“リベルタンゴ”のトップコンビの踊りが魅力的でした。やたら長い客席降りのある中詰め。
 次のナンバーへの繋ぎに主題歌のラインダンスがここで入る。
E“星サギの夜”(振付/平澤智)
 星組生全員によるドラマティックな踊り。宝塚っぽくはありましたが、星をテーマにした良い場面がようやく出てきたな、と思いました。
F“フィナーレ”(振付/御織ゆみ乃・若央りさ)
 瀬央ゆりあさんが歌いながら銀僑わたり、綺咲愛里さんと娘役グループの踊り、大階段でポーズを決めた黒燕尾服の紅ゆずるさんら男役が“情熱大陸”を踊る。最後はトップコンビがMISIAの“逢いたくていま”をデュエット。
G“パレード”(振付/百花沙里)

 ざっと書き出してみましたが、オリジナル曲やスタンダード曲を通り越してJPopやKPopがいかに多かったかがわかります。
 先に挙げた5人のスター以外の人をフィーチャーした場面がまるで無い。頼むよ!
 また、フィナーレが始まった途端オーケストラ演奏でなく録音が続くので驚きました。予算の関係なのでしょうか?
 振付スタッフでは宝塚星組OGの百花沙里さんの参加が嬉しかったです。逆にベテランの羽山紀代美先生の名前が見えないのはさみしいですが、世代交代なのかも知れませんね。

 今回の様なクセのあるお芝居のあとに登場するレヴューとしては、単純に楽しめました。毎公演、二千人もの観客を惹き付けるにはこれで充分なのかな、という気持ちにもなりました。

天野 俊哉



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