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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1461 順みつきさん追悼〜元宝塚花組トップスター
 1980年代に宝塚歌劇団花組のトップスターだった順みつきさんが亡くなりました。順みつきさんの愛称はミッキーさん。1970年代の汀夏子さんと共に熱い、熱い、熱い、とにかく熱い男役を演じました。

 実のところ私は宝塚時代のミッキーさんとは、全く異質な形で出会いました。
 今では自分が毎年出演している銀座博品館劇場で上演されたミュージカル『キャバレー』で、忘れもしない1982年の夏でした。
 宝塚歌劇団の、しかも花組トップスターが何故博品館劇場に出演していたのか?実はそこが実力派ミッキーさんの不幸なエピソードのひとつなのです。
 Y'sコラムを読まれる宝塚をあまりご存じない皆さまに分かりやすく説明をいたしましょうね。

 実力派の若手男役のミッキーさんは人気も高かったので、劇団側はミッキーさんを「花組・月組・雪組・星組の4つの何処の組でトップにしようか?」悩んでました。
 1980年代に入り、結局トップスターとして(私個人の印象ですが)一番インパクトの弱かった松あきらさん率いる花組にミッキーさんを2番手男役ではなく、もう一人のトップ、つまりダブルトップに起用してしまったのです。
 「主役が二人なんて!」
 花組の中では松あきら派とミッキー派に分かれてしまうし、このダブルトップは何よりもファンに評判が悪かった!
 『ジュエリー・メルヘン』というショーを観たとき、オープニング・ナンバーで松さんとミッキーさんが全て対称に扱われていたので凄く違和感を感じたものです。

 やがて、松あきらさんが先に退団することになりました。
 「まさか松あきら退団公演にミッキーを出演させるんかい?」
 再び大もめした挙げ句に考えついたのが、ミッキーさんを外部出演である『キャバレー』と宝塚の小劇場バウホールでのリサイタル公演『I LOVE MUSIC』に追いやる事でした。

 松あきらさんが『夜明けの序曲』の単独トップスター出演で退団した後、晴れて花組の単独トップスターになれたミッキーさんですが、「もうエエわ!」そんな劇団に愛想つかしたのか?直ぐに退団することになりました(以上は、あくまで私の知るミッキーさん情報でありますので、もし間違いがあってもご容赦下さい)。

 私が『キャバレー』の次にミッキーさんを観たのが惜しくも退団公演となった『霧深きエルベのほとり』『オペラ・トロピカル』でした。海岸というか浜辺みたいな場面ばかりの『エルベ』と、ショーでありながら全編大階段を下ろしたままの『オペラ』は、何となく予算削減にしか思えませんでした。
 それでも“クアンバチェロ”?を熱唱するミッキーさんは熱くて、見事なトップスターぶりでした。

 退団してすぐにNHKが誇る音楽番組だった『映画音楽大全集』にミッキーさんが出演して、“キャバレー”を歌いプロのダンサー達と踊りました。そして私の師匠がタップ・ダンスの振付で関わったミュージカル『アニー』では、ハニガン先生役でミッキーさんも出演されてました。
 私の知るミッキーさんの活躍は残念ながらここまでです。

 数年前、このコラムに退団後にミッキーさんが出演された音楽番組の事に触れたところ、学生時代に熱烈なミッキーさんファンだったという女性の方からメールを頂きました。その方はミッキーさんの外部出演である『キャバレー』を観る機会がないまま今日まで来てしまった、確かそんな内容でした。
 いつまでも心に残り続ける宝塚のトップスターなのですね。

 順みつきさんのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉


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