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Vol.154 MGMミュージカルのDIVA(ディーバ):キャスリン・グレイスン
 2月17日、キャスリン・グレイスンが88歳で亡くなったことを、松本さんのブログで知りました。
 MGMには、モダンなミュージカルを作るアーサー・フリードというプロデューサーと共に、オペレッタなどクラシックなミュージカルを作るジョー・パスタナックというプロデューサーがおり、そのパスタナックが1940年代に売り出したのがグレイスン(以下KG)でした。目が大きくて鼻が上を向いている派手な顔のせいか、当時のテクニカラーとの相性が抜群に良くて、逆に白黒画面では全く沈んでしまいました。デビュー当時は、若き日のジーン・ケリーやフランク・シナトラと組んだ作品が多くて、「錨を上げて」では堂々の主役でした。残念なのは、ソプラノ歌手なのでケリーやシナトラとのデュエットは無く、彼女のナンバーはソロに限られてしまったこと。一方、彼女は踊れない人なので、あくまでも芝居での共演で終ってしまいました。
 1940年代後半、バリトン歌手のマリオ・ランザ、ハワード・キールがMGMに入社した頃から彼女のピークが来ます。デビュー当時のジーン・ケリーに似たハンサムなランザとKGの“Be My Love”のデュエットはすばらしいナンバーで、「ザッツ・エンタテインメント」に収められています。ハワード・キールと主演した「ショウ・ボート」では、“Make Believe”、“Why Do I Love You”、「Lovely to Look At」では“Smoke Gets in Your Eyes”、「キス・ミー・ケイト」では“So In Love”など、アメリカのポピュラー界の名曲をたくさん歌っています。今回、追悼のつもりでそれらのナンバーを全部チェックしたのですが、本当にきれいで映画向きの人だったのだなと改めて思いました。
 KGの代表作が「ショウ・ボート」で、当たり役がマグノリアというのが通説ですが、私はむしろ「キス・ミー・ケイト」の方が好きです。元夫役のH・キールに悪態をつくリリー(ケイト)役がとても弾けていて本人も楽しそうです。この作品は別の機会に紹介しますね。
 さて、今回このコラムと共にKGの写真がいくつかありますが、白黒写真に注目してください。これは1949年に<MGM創立25周年記念ランチパーティー>でのひとコマ。左側のキャスリン・グレイスンが右側の女優に話しかけていますが、このドレスアップしているのが、先日亡くなったジェニファー・ジョーンズです(コラムVol.146をご参照)。お二人とも90年近く生きた中で、たぶん口をきいたのがこの時だけだったに違いありません。この日、完全に孤立していたジェニファーにKGは何を話しかけたのか・・・
 キャスリン・グレイスンのご冥福をお祈り致します。

天野 俊哉






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