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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1532 『ミュージカル映画特集』シネマヴェーラ渋谷最終回 ジーン・ケリー再登場
 瀬川昌久先生セレクションによる『ミュージカル映画特集』が名画座シネマヴェーラ渋谷にて開催されていますが、いよいよ最終回。11月10日(土)から11月16日(金)までのプログラムから、再びジーン・ケリー主演のMGMミュージカル3作品を取り上げます。今回の特集でMGMミュージカル最大のスターであるケリーの『踊る海賊』から『雨に唱えば』までの代表作を6作品まとめて上映したシネマヴェーラに拍手。ミュージカル映画ファンになった頃、日本の名画座でこんなに凄い事が起こるなんて想像すらできませんでしたから。

『サマー・ストック』
“Summer Stock”(1950)
ジュディ・ガーランド
ジーン・ケリー
フィル・シルバース

 MGMミュージカルを創ったのは俳優でも監督でもなくプロデューサーのアーサー・フリードだ、とよく言われますが、実は他にも素晴らしいプロデューサーが存在しフリード作品と張り合っていたのです。
 『サマー・ストック』を製作したのはジョー・パスタナック、彼の作品は少し力を抜いた感じが楽しめます。ジーン・ケリーのタップダンス・ナンバーが沢山あり魅力的ですが、ジュディ・ガーランドが同じ様にタップを踊らされ、さらに“Get Happy”という名ナンバーを残した事はファンには嬉しい事です。ショーの場面で、ジュディが歌いジーン・ケリーがタップを踏む“All For You”の雰囲気が特に好きで、Y'sが設立された2005年の初舞台で淺野康子さんと女性メンバーの皆さんに踊りをプレゼントしたものです。
 日本では劇場未公開、1980年代に突如ビデオ発売されたのは驚きでした。

『雨に唄えば』
“Singin in the Rain”(1952)
ジーン・ケリー
ドナルド・オコンナー
デビー・レイノルズ

 つい最近、宝塚歌劇団で公演があり、私の『雨に唄えば』エピソードはコラムVol.1483に山ほど書きましたので是非そちらをご覧下さいね。

『巴里のアメリカ人』
“An American in Paris”(1951)
ジーン・ケリー
レスリー・キャロン
ジョルジュ・ゲタリー
オスカー・レヴァント

 日本では劇団四季によって上演される『巴里のアメリカ人』のブロードウェイ・ミュージカル版のCDを購入したのですがもうがく然としました。全然別物ですね、あれは。
 『巴里のアメリカ人』は私の最も好きなハリウッド・ミュージカル映画なのですが、それはこの作品の完全版に中々出会えなかったからだと思います。

 さあ、これから長くなりますよ!
 MGMミュージカルの名場面を集めた『ザッツ・エンタテインメント』で大のミュージカル・ファンになった14歳の私。その頃日本ではミュージカル映画の人気が全く無かったのです。古いミュージカル映画を観るには映画館でのリバイバル上映か、テレビ放映を待つしか無かったのです。
 それでも『ザッツ』を観てから半年後に、TBSテレビが深夜劇場で『巴里のアメリカ人』を放映するという情報を得ました。
 この作品の上映時間は113分。しかしテレビ放映枠は90分、CMの時間を引くと正味72分。40分もカットされるんだ!しかも日本語吹替えだし。
 あまりの嬉しさにそんな事は全く考えずに真夜中テレビの前に座りました。
 その日に私が目にしたミュージカル・ナンバーはたったの6曲。
 なんか少ないぞ。
 全部カットされていた
“Opening Title”
“By Strauss”
“I Got Rhythm”
“Concerto in F”
“I'll Build a Stairway to Paradise”

等は諦めがつきましたが、中途半端に残されたものの方が気になってしまいました。
 なかでも一番引きずったのが、オスカー・レヴァントの狭い部屋で、レヴァントのピアノに合わせてケリーが歌う“Tra La La”なるナンバーで、二人が歌い終わった途端にパッと場面が入れ替わった。
 なんか変だな?
 疑問を残したまま2年が経ちました。
 16歳になった私は中間試験の最終日に池袋の映画館の前でまさかの看板を目にしました。
『巴里のアメリカ人』
 リバイバル上映の看板でした。滅多に行かない池袋で出会えたのです。もちろん直ぐに入場しました。学ラン着てたんですけどね。
 MGMのライオンが吠えた!
 オープニングがあった!
 ジーン・ケリーが子供達と歌い踊った!
 音楽がふんだんに出てきてテレビで観たのと同じ映画とは思えませんでした!
 そしてオスカー・レヴァントの狭い部屋でレヴァントのピアノでジーン・ケリーが歌う場面が出て来ました。二人が歌い終わった途端にジーン・ケリーはなんとピアノの上に立ち上がってタップを踏み出しました!
 感動しました!
 やっと観れたのですから。

 ビデオやDVDを簡単に所有出来る現在からするとバカみたいな出来事ですが、普通に映画を観ることが出来なかった時代もあったのですね。
 近年この“Tra La La”をY's公演『PRECIOUS』で石井千夏さん柏田千夏さん山岸海月さんと、また『東京リズム劇場』では西村麻亜沙さんとデュエットしたり、私の『巴里のアメリカ人』熱は40年経っても止まりません。

天野 俊哉



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