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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1475 アンティークレース展に行ってきました
 横浜のそごう美術館で開催された「ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展 〜Lace,Thread of Comfort〜」を鑑賞してきました。
 マリー=アントワネットやナポレオン皇帝ゆかりの貴重なレースを始め、16世紀から19世紀のヨーロッパのアンティークレース約170点が全5章にわたって展示されていて、当時の熟練職人たちの精緻な編込技術に驚愕、感嘆しました。

 現代においてレースといえば、例えばウェディングドレスに代表されるように、男性には縁遠い女性のもののようなイメージがありますが、レース全盛の時代には男女問わず、王侯貴族が富と権力の象徴として身に着けていたそうです。最高級のレースともなると、熟練職人が1平方センチを1時間以上かけて編み込んだと言われており、富だけでなく民衆がどれだけ自分のために仕事をしてくれたのか、の証ともなった訳です。
 また、コラムVol.1343で天野先生がご紹介しているように、ダルタニャンと三銃士のような勇士たちが、強者の証としてレースを身に着けていました。みんなレースをヒラヒラさせながら闘っていたんですね。
 余談ですが、写真技術がなかった当時の肖像画家たちは、程良い美貌度アップ画力はもちろん、富と権力の象徴であるレースを如何に巧く描けるかが大いに出世にかかわっていたようです。王侯貴族のおめがねに叶ってお抱え肖像画家になれたら、裕福な生活と名声を手に入れられる訳ですね。

 18世紀の半ばから19世紀にかけて起こった産業革命によって手工業のレース文化は衰退し、代わってカーテンやテーブルクロスなど機械織りによる大物で安価なレースが大量生産され普及することになりましたが、かつてヨーロッパの人々を魅了した高度な技術による“芸術品”は、機械では未だに再現できないそうです。
 現代においてもIoTやAIなどにより多くの産業や技術が進歩していますが、今回鑑賞したレースのように、脈々と受け継がれてきた日本の伝統技術が衰退することのないように守っていただきたいものです。
 そんな技術革新の功罪が垣間見えた、奥深い美術展でした。

写真下 上段左から
エリザベス1世/マリー=アントワネット/ナポレオン皇帝
ルイ13世/ルイ14世(太陽王)/ルイ15世
モーツァルト/支倉常長/天草四郎時貞

Y's取材班



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