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Vol.1467 もうすぐ生誕100年レッド・バトンズ〜泣き顔の大スター
 日本では、韓流ドラマがブームになるまで男性スターが泣くなんてタブーでした。1950年代のハリウッド映画時代から1960年代のニューシネマ時代を経て、再びハリウッドが脚光を浴びる1970年代まで、何故かその泣き顔で映画界に多くの名演技とファンを残したのが今回ご紹介するレッド・バトンズです。

 私が初めてレッド・バトンズを観たのが1970年代に大ブームを起こしたパニック映画の名作『ポセイドン・アドベンチャー』(1972)です。12歳の時、ガラの悪い錦糸町の映画館までロードショー上映をひとりで見にゆきました。
 タイタニック号みたいな大型客船が津波で真っ逆さまになりその中を残された数名の男女が繰り広げるサバイバル映画で、レッド・バトンズは神経質な独り者役を、時に弱々しく、時に勇気を出して立ち向かいました。沢山のスターに混じったレッド・バトンズは笑顔と共によく涙を流しました。また、背丈が女性くらいで小柄なのも私達日本人からみると共感できる部分で、私の周りの映画ファンにはとても人気がありました。

 レッド・バトンズは日本で言うところの漫談、スタンダップ・コメディアン出身。
 1957年のマーロン・ブランド主演の『サヨナラ』は、アメリカ軍人役のレッド・バトンズが日本人女性と結ばれるものの悲しい結末を迎えてしまう悲劇でした。彼はアカデミー助演男優賞を受賞しましたが、映画の他の部分があまりにブッ飛んでいて不思議な位レッド・バトンズのエピソードの記憶がございません(関連コラムVol.191)。
 1960年代に助演したジョン・ウェイン主演の『ハタリ』
 シャリー・ジョーンズ主演の『坊やの作戦命令』
 ジョージ・ハミルトン主演の『偽りの心』
 キャロル・ベーカー主演の『ハーロー』
等はテレビの名作劇場で観ましたが、レッド・バトンズらしい好演技をみせていました。
 当時、映画館で観たなかでは『雨に唄えば』のスタンリー・ドネン監督作品『ブルックリン物語』でのレッド・バトンズが良かった。
 2つの物語のオムニバス映画で前半のボクシング映画では、レッド・バトンズは若手ボクサーのセコンド役。最後は泣いてました。後半のミュージカル映画ではダンス監督役で、コーラス・ガールズとタイム・ステップを踏んでいました。もちろん最後は泣いてました。
 1970年代最強のスタント・マン自身が主演した『ビバ・ニーベル』では、レッド・バトンズがジーン・ケリーと共に助演しているので映画館まで行きました。
 珍しくスタント・ショーからあがりをくすねるという悪徳プロモーター役でしたが、結構楽しそうに演じてましたね。

 私が高校生の頃、アメリカのテレビ・ショーが沢山テレビ放送されていましたが、ディーン・マーティンが司会をつとめるハリウッドスターの『こきおろし大会』が大好きでした。ゲスト・スター達がフランク・シナトラやらジョン・ウェインやらの大スターを本音でこきおろすショーでした。そんな中にレッド・バトンズが泣き顔で登場しました。どうやら彼はユダヤ人みたいで、ジョークの内容もユダヤがらみのものでした。あるタイミングで「今日も夕飯にはありつけなかった!」というオチがあったのをよく覚えています。
 笑えなかったけど。
 シニカルなジョークを連発するドン・リックルズみたいなコメディアンからは、「レッド・バトンズ!いつも泣いてるんじゃない!」なんて突っ込まれてましたっけ。
 古きよき時代でした。

 今回はハリウッド映画の泣き顔の大スター、レッド・バトンズを取り上げました。

天野 俊哉


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