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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1361 昭和の映画俳優、橋本力さん追悼
 大映映画で活躍した俳優の橋本力(ちから)さんが亡くなりました。
「橋本力さん、どんな人ですか?」
 皆さんご存知無いですね。
 多分、日本映画界、いやアジア映画界で、これほど《眼の演技》でインパクトを残した人はいないでしょう。
「眼の演技ですか?」
 そう。
 そして、橋本力さんには物凄いキャッチフレーズがあります。
《ブルース・リーと戦った唯一の日本人》
《ブルース・リーに蹴られた男》

 羨ましいお方じゃ!

 プロ野球選手から1960年大映映画の俳優に。大映が誇る
悪名シリーズ
座頭市シリーズ
兵隊やくざシリーズ
眠狂四郎シリーズ

での斬られ役、殴られ役、殺され役等の悪役を演じたのち、大映が力を入れた妖怪映画、怪獣映画での着ぐるみ俳優としても活躍を。選ばれたのは、その力強い《眼ヂカラ》によるものでした。
 わたし世代には懐かしい『妖怪大戦争』の宇宙から来た妖怪ダイモン。ろくろ首の女や油すましなんて日本の妖怪を痛め付ける悪い妖怪が怖かった!
 『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』のバイラス星人。ただでさえ凄い眼ヂカラなのに、ビカッと光った時はホントに怖かった!
 そして、最大の当たり役が『大魔神』三部作の魔神様。平和な顔をした武神像のハニワ君が凄い顔をした眼ヂカラの強い魔神様に変身する場面が最大の見せ場になりました。
 監督から「大魔神は神様だから絶対にまばたきをしないでくれ!」と命令され、粉塵が飛び交う中、カメラが回っている間は決してまばたきをしなかったそうな。
 子供の頃、橋本力さんのギラギラと血走った眼の怖さで夜うなされたものです。ちょうどこの夏にNHK BSで『大魔神』全作がテレビ放映されてましたね。

 大映映画会社が、多分私の無賃映画鑑賞のせい(コラムVol.832をご参照)で倒産した後、橋本力さんにはまさかの映画オファーが飛び込んできます。
 泣く子も黙る当時の大スター勝新太郎から
「リキ、ちょっと香港行って1本映画撮ってきてくれ!」なる鶴の一声で香港へ。
 待っていたのが天下の大スター、ブルース・リー!
 『ドラゴン怒りの鉄拳』での日本人鈴木役でした。映画のラストで日本家屋から庭園までの橋本力さんとブルース・リーの一騎討ち場面に、私達カンフー映画ファンは燃えました。
 橋本力さんはブルース・リーに蹴り殺されるのですが、蹴られた橋本さんが障子を破って庭園まで飛ばされる!そのスタントを担当したのが何と無名時代のジャッキー・チェン!
 凄いぜ!リキさま!
 素晴らしい映画人生だったのですね。

 今回のコラムは、知野二郎著『ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進』(1995)での橋本力さんへのインタビュー記事を大いに参考にいたしました。

 橋本力さんのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉



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