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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1270 宝塚歌劇団から映画界へ〜月丘夢路さん追悼
 大学生の頃、京橋のフィルム・センターで小津安二郎監督の名作「晩春」を初めて観ました。若かった私は、テーマである笠智衆さん演じる父親と原節子さん演じる娘の親子愛よりも、原さんと友人役の月丘夢路さんのテンポの良い会話を大いに楽しんだものです。
 月丘夢路さんが亡くなられたニュースを聞いて、久しぶりに月丘さんの代表作でもある「晩春」を観ましたが、年齢を重ねた今改めて鑑賞すると、以前とは全く違う場面で感動したり呆れたりするものですね。
 父親役の笠さんの「父さんはもう56(歳)だ。もう先が無いんだよ」のセリフには唖然としました。また、原さんや月丘さんら若い女性の「おじさま」なるセリフが笑える。私の中学生の姪なんて私を「おじさん」とも言わず「天野さん」て呼ぶのですよ。最近聞かないデスネ「おじさま」って言葉。
 それにしても月丘さんが原節子さんと同じくらいお綺麗なのには驚きです。

 月丘さんが宝塚歌劇団出身であることから、映画界に移籍した後「宝塚夫人」という作品に主演した事があり、レヴューの場面では歌や踊りも披露しています。
 春日野八千代さん、越路吹雪さん、八千草薫さん、有馬稲子さんら当時のタカラジェンヌが大勢出演。さらに六甲山、武庫川、花の道、歌劇団の稽古場、大劇場、植物園、そして当時の東京公演を行っていた帝国劇場までロケ地がふんだんに出てきます。
 有馬さん演じる次世代の娘役スターが宝塚の舞台を捨ててゆくなんて、後年本当の話になってしまったのは皮肉。
 1950年頃のレヴューのテンポの速さや、観客のテンションの高さも感じる事が出来て面白かったです。

 日活映画で和製ミュージカルを創っていた井上梅次監督の「お転婆三人姉妹・踊る太陽」ではエキゾチックなダンサー役でゲスト出演。これは、先日亡くなられたペギー葉山さんの主演作品でもありました。

 月丘さんは実生活ではこの井上梅次監督夫人でした。2010年には監督の追悼コラム(Vol.165)を書いておりますのでそちらも是非ご覧になって下さいね。
 月丘夢路さんのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉




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