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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1169 すみやの時代/ミュージカル映画のレコード
 今またカセット・テープ、カセット・デッキが見直されているとか。
 テレビの特集番組を見て驚きました。
 難しい表現で私には良く分かりませんでしたが、形あるものの魅力を再発見する時代になってきたのかも知れません。
 そう言えば、タップ・ダンサー仲間のAkkinさんが、レディー・ガガのCDを聴いていて「CDを持っていると、いつでもライナー・ノートを読み返せるから」と話していました。
 若い彼女の話を聞いていて、私にもそんな頃があったな?と思い出しました。
 と、いっても私はCDの少し前のレコード盤の時代ですが。
 30pもする大きなレコード盤を大切に抱えて電車に乗っていた頃が懐かしい。
 最近、日本のレコード屋さんへのインタビューを記録した「夢街POP DAYS音楽とショップのカタチ」(ラトルズ)という本が出版されましたが、その中に私が10代の頃にミュージカル映画のレコードをよく購入していた、すみや渋谷店の店長さんがインタビューを受けていました。静岡に本社があり、やがて東京に進出したすみやの歴史が語られていました。
 1975年3月公開のミュージカル映画「ザッツ・エンタテインメント」と、渋谷のすみやレコード店、そして銀座のイエナ洋書店の3つは10代の私にとって切っても切り離せないものです。
 古いミュージカル映画の情報がまるで無かった1970年代の日本では、レコード・ジャケットに掲載されている、もしくは付いているライナー・ノートが唯一の情報源でした。
 「ザッツ」でミュージカル映画に目覚めた私は、すみや東京事務所なる場所で行われたレコード市で、初めてミュージカル映画の輸入盤レコードを購入。
 イギリス盤「雨に唄えば/いつも上天気」(上から写真@)。
 やがてアメリカ盤シリーズの存在を知り、日本盤シリーズが発売されるに至った話はコラムVol.761をご覧下さい。
 もちろん全部買いました。
 MGMから発売されたこのシリーズ最大の欠点は、そうタップの音が入っていない!そしてジーン・ケリーとフランク・シナトラ共演作「踊る大紐育」「野球に連れてって」「錨を上げて」等がまるで無い。
 すみや東京事務所に電話をして「ジーン・ケリーのタップの音が入ったレコードありませんか?」  するとケリー&シナトラ共演「踊る大紐育」の海賊盤というのがあり「タップの音が入っているらしい!」との情報を。さっそく予約をするも、入荷したのは翌1976年(写真A)。
 店を持たず、事務所だけのすみやには電話をして情報収集。
 ある日「あのうケリー&シナトラのTake Me Out to the Ball Gameなんてありませんか?」
 すると「野球に連れてってですよね!入りました」(写真B)。
 すみやの方も私の好みを抑えているようで、続いてケリー&シナトラの「錨を上げて」を輸入してくれました(写真C)。
 いずれも¥2300位しました。40年前だからかなり高価な買い物ですが、すみやは私のマニア魂に火をつけてくれました。
 ケリー&シナトラ共演作のレコードを制覇した頃、今度はすみやから電話が。
 「ジーグフェルド・フォーリーズが入りました!」  ああっ、フレッド・アステアとジーン・ケリーがタップ・デュエットした映画だ、欲しくなるのは当たり前。
 一つだけ問題が。
 横浜店に置いてあるとか?
 横浜?
 どこ?
 すみやの方から細かく場所を聞いて中間試験の最終日に出掛けました。
 横浜駅前に岡田屋があって、そこにすみや横浜店がありました。15歳の私には長旅でした。しかも「ジーグフェルド・フォーリーズ」(写真D)のレコードは二枚組で、¥4600もしました。でも宝物でした。
 これらは全てフィルムから勝手に音楽を録音して発売した物で、正真正銘の海賊盤でした。映像ではなく音楽だけというのが笑えますが、これしか手がありませんでした。音質は悪く、盤が反っていた事や、針が飛んだ事もありました。もちろん返品も返金もしてくれましたが、海賊盤のため再入荷しない物ばかりでした。
 また、レコードは録音時間に限界があったので、全てのミュージカル・ナンバーが収録されず、先の「錨を上げて」ではジーン・ケリーのダンス曲が二つもありませんでした。
 最初はMGMミュージカルの有名な作品だけでしたが、やがてハリウッドの全てのミュージカル映画が発売される事に。もちろん全部買いました。
 それにしても不思議なのは、私の家は両親が共働きの普通の家庭だったのに、お金って何処から出てたのだろう?
 今となっては謎であります。
 やがて、渋谷駅から数分の場所に渋谷一ノッポなビル、東邦生命ビルが出来、いよいよすみや渋谷店が1977年にオープンしました。
 つづく。

天野 俊哉




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