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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.964 小鷹信光氏のこと
 中古商品の面白さに、前の所有者関係の物の存在があります。
 先日、BOOKOFFで宝塚歌劇の古いパンフレットの間に半券やチケットを入れる袋などが几帳面にはさんでありました。ここまで大切にしてきたのなら売らなければ良いのに!と思いました。また、その書籍を新品で購入した際の書店のレシートや鉄道の切符なんてのもありましたっけ。
 探偵もの、もしくはハードボイルドものの名作「マルタの鷹」の作者ダシール・ハメットを描いた「ハメット」という映画の中古DVDを12月に購入しました。私はてっきり伝記映画と思っていたら出来の悪いドラマでした。
 すみません、今回の主役は映画ではありません。
 DVDのパッケージを開くと、左側のポケットに何やら白い紙が挟んでありました(写真@)。
 開いてみると新聞記事のコピーでした(写真A)。
 小鷹信光(こだかのぶみつ)氏という翻訳家の方へのインタビュー記事で、小鷹氏がハードボイルド小説にはまり、翻訳の世界に飛び込むも、彼が憧れるダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラー作品の翻訳は、先輩翻訳家先生の仕事であり、自分には回ってこない。「マルタの鷹」を初めて翻訳出来たのが50歳近く1985年になってからとか。つまり私が学生時代に読んだ「マルタの鷹」はそれ以前の物なのですね。
 「ハメット」のDVDを購入した方は私と同じように「マルタの鷹」経由でこの作品に興味を持ったようです。
 映画には呆れましたが、小鷹信光氏に関するコピーはある意味勉強になりました。
 そして数日後の事、2015年に亡くなった方々の紹介コーナーに小鷹信光氏の名前を発見しました。享年79歳。
 小鷹氏が亡くなった12月8日は、私がDVDを購入してコピーを手にしたその日(写真B)だったのです。
 海外小説の翻訳の世界に生きた小鷹氏とこうして出会えたのも何かのご縁だと思います。舞台が終わったら探して読んでみるつもりです。
 小鷹信光氏のご冥福をお祈りいたします。

写真 上から
@AB
改訳決定版「マルタの鷹」発刊記念でインタビューに答える小鷹信光氏(2012年頃)

小鷹氏トリビア
 松田優作主演のテレビドラマ「探偵物語」の原案者としても知られており、企画段階では小鷹氏のハードボイルド論に基づいて本格的な主人公の設定が提案された。
 小説版も手掛け撮影現場にも足を運ぶ程の熱の入れようだったが、実際の映像はアドリブが頻発するなど、本気と冗談が入り混じった独特の世界観が築かれた。
 この件について小鷹氏のコメントは不明。

天野 俊哉




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