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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.88 私のオススメ映画 8
「スイング・ホテル」
“Holiday Inn”(1942・パラマウント映画)

1930年代から40年代にかけてアメリカでもっとも人気・実力のあった歌手のビング・クロスビーと踊りのフレッド・アステアの競演そして“アメリカのシューベルト”と呼ばれたアーヴィング・バーリンの名曲が全篇流れるミュージカル・コメディの傑作です。
単純なストーリーですが、監督マーク・サンドリッチのセンスが良いのでドラマの部分も飽きません。
主演の2人があまりにビッグであった為、ヴァージニア・デイルとマージョリー・レイノルズという2人の女性ダンサーの存在が忘れられがちですが、アステアのパートナーとして新鮮です。流れる様なデュエットは文句なしですが、タップファンにオススメしたいのは、アステアが爆竹を破裂させながら踊るダンス・ナンバーで、この撮影がハードだったためにスマートなアステアがさらに痩せてしまったそうです。
アカデミー主題歌賞をとった“ホワイト・クリスマス”はその後映画をはなれてミリオン・セラーを記録しますが、この作品は特にそれを意識せずに作られた様で、ニューヨークで公開されたのは1942年8月でした。真夏にクリスマス・ソングを聴かされた当時の観客はどう感じたのでしょうか?これから御覧になる方はぜひウインター・シーズンにどうぞ。
(DVD:駅などで売られている\500DVDにあります)

写真上 : 左からビング・クロスビー、ヴァージニア・デイル、フレッド・アステア
写真下 : フレッド・アステアの爆竹を使ったタップ・ダンス


「ブルー・スカイ」
“Blue skies”(1946・パラマウント映画)

「スイング・ホテル」のアーヴィング・バーリン(音楽)・ビング・クロスビー(歌)・フレッド・アステア(踊り)の3人が、4年ぶりに顔を合わせ、カラーで作られたミュージカル大作です。アステアの役は最初ポール・ドレーパーというクラッシックの音楽でタップを踊るダンサーが予定されていたのですが、リハーサルの途中で降りてしまいました。ポール・ドレーパーが出演した他の映画を観た事がありますが、いかにも神経質そうで映画向きとは言えないドレーパーでなくて良かったと思います。逆にアステアと多くの作品で組んだ「スイング・ホテル」のマーク・サンドリッチ監督が撮影中に急死してしまい三流監督に替わった事は悲劇です。あまりにもくだらないストーリー展開にはショックを受けます。選ばれたバーリンの音楽もダラダラしたものが多く作品を救う事は出来なかった様です。
そんな中で、フレッド・アステアの(たった)4曲のダンスナンバーは価値があります。
“美しい娘はメロディのよう”は美しいコーラスガールを相手にアステアが踊るコミカルなナンバー。“プティン・オン・ザ・リッツ”は、アステアが大勢のアステアと踊るタップ・ナンバーで、この作品のハイライトです。“歌と踊りのカップル”は、クロスビーとアステアの楽しいデュエットです。クロスビーの動きはとても重いのですが、アステアに全く引けを取らないショーマンシップはさすがです。色彩の洪水とも言える“ヒート・ウエーブ”では、ジルバの振付でアステアの新しい感覚を生かしています。あんな終わり方をしないでほしいと誰もが思う迷シーンになっています。
この作品も爆発的なヒットを記録して、1954年に三たび同じ顔ぶれで企画されたのが「ホワイト・クリスマス」でしたが、残念ながらアステアは出演しませんでした。
(DVD:ジュネス企画 JVD-3039 税込\5,040)

写真 : “歌と踊りのカップル”のビング・クロスビーとフレッド・アステア

天野 俊哉





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