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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.789 NTD前日に想う
 体調不良のせいで補講となり大好きな仕込みの金曜日にNTD会場いりが出来なかった天野です。
 今、自由ヶ丘教室の入る東急ストア前のカフェでランチ中です。
 ストアの入口にはゆるキャラ君がたった独りで愛嬌を振りまいてますが、どうもハイソな自由ヶ丘の人々には受け入れられていないご様子。
 4月なのに夏日で、多分20℃以上はあったのでゆるキャラ君(の中で奮闘しているアルバイト君)の気の毒さが増します。
 何事にもTPOがあるでしょうに。
 可哀想!
 私はNTDや東京リズム劇場等お客様が一杯のタップ公演しか経験の無い皆さんには想像できない位驚きの経験をしてきました。
 前回のコラムで書かせてもらった愛称オチ、愛称熊ちゃん、フレッド阿部さんそして私の2ペア4人が関わったイベントの事です。
 銀座三越の向かいにあった日産のショールームで新車発表会に確か1日5〜6ステージの仕事がきました。私達はもちろんタップを踊るためでした。
 ステージ中央には新車が置かれ、上からは黒のシートが被せられていました。
 カメラを持った殆どが男性という異様な客層。
 私達ですらその新車の前でタップを踏む意味が分かりませんでしたが、カメラ小僧たちはもっとそう思っていたに違いありません。
 構成は、DJ氏が現れ、タップが踊られ、ファンファーレと共にシートが上がり新車発表会となる。
 ネェ変でしょ?タップ。
 何が嫌かって誰一人タップを踊る私達を見てくれないのです。彼等は私達を無視して黒のシートを、次に登場する車のシートをただただ見つめているのです。
 若かったので踊りながら「変なやつら!」と笑顔でつぶやいてました。
 車の前、左側、右側、後に分かれて踊り終え楽屋に戻ってきた私達は口々に同じ不満を。
 毎ステージ毎に同じ状況でしたので、さすがに3ステージ目位になるとステージの時間が嫌になってきました。
 そんな私達をやる気にさせてくれたのが何とホームレスのおじさんでした。最後の5ステージ目位でしたが、私達が登場した時から踊り終え、ステージから降りた後まで盛んに拍手をしてくれました。
 嬉しかったですね。
 バブル時代にはこうした無茶なイベントが多くて、女性達は朝のラッシュ時の飯田橋駅とか戸田の競艇場とかで踊ったそうです。
 はるばる栃木から自由ヶ丘までやって来たゆるキャラのとちまる君にハグをして教室に向かいました。

天野 俊哉




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