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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.776 生まれも育ちも葛飾柴又の隣町です
 映画「男はつらいよ」の主人公車寅次郎の有名なセリフ「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又です」。私は柴又の江戸川を挟んだ隣町の千葉県市川市で生まれ、逆の隣町の葛飾区の新宿(にいじゅく)で育ちました。
 地元意識が強かったので小学生の頃、柴又で行われる「男はつらいよ」のロケ現場に自転車で駆け付け見学をしていました。
 また、中学から高校までの6年間、新しいクラスでの自己紹介では必ず先に挙げた「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又の隣町です」を決まり文句にして笑いをとっておりました。
 寅さん様様です。
 先日もそんな「男はつらいよ」シリーズの1つ「私の寅さん」を観ていたらサプライズがありました。この作品は1973年に製作された12作目、柴又近辺も川向こうの市川も急速に高いマンションやビルが増えてきてのどかな景観が減ってきたのでしょう。
 マドンナ役の岸恵子さんが暮らすちょっと古風なアトリエがある家屋の玄関先(写真@)とその周辺のロケ地は柴又と江戸川ではなく、私の町新宿(にいじゅく)2丁目と中川だったのです。
 中川は江戸川よりもふたまわり以上小さい川ですね。
 山田洋次監督らスタッフ一行が苦労して、めぐりめぐってたどり着いたのが新宿だったのでしょう。なんせ松竹が誇る美人女優岸恵子さんの家ですから。
 おまけに寅さんが岸恵子さんと買い物をするのは近所にあった星野パン店(写真A)、そのままツーショットでえざわという酒屋さんの前を歩き(写真B)中川(人道)橋あたりでサヨナラをするシーンまでありました。40年後の今見ると瓦屋根の佇まいがレトロでいい雰囲気を醸し出しています。
 その後、寅さんが妹のさくらと岸さんの家を訪ねるシーンと岸さんが風景をスケッチするシーンでは中川の土手が(写真CD)。今では高いビルが沢山立ち並んだ全く別の風景になりました。
 寅さんが源公を連れて岸さんを訪ねるシーンとさくらと岸さんが歩く土手のシーンの背景には中川大橋が(写真E)。
 これだけ新宿(にいじゅく)全開なのに、全く記録が残されていないのは何故かな?  私の町に映画やテレビの撮影が来たのは多分最初で最後だったに違いないのに、です。
 また、松竹映画や「男はつらいよ」の研究書にもこのロケ班の事は皆無とはさみしい限りです。
 今回はかなり、かなりローカルな話題になってしまい失礼しました。

天野 俊哉




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