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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.768 生誕100年ジニー・シムズ〜大スターにはなれなかったけど
 世の中には「なぜあなたが?」という不思議な事があります。
 MGM映画会社創立20周年の1944年、社長のルイス・B・メイヤーを中心に当時のMGM映画の大スター達がズラリと並び記念撮影。学生時代、確かライフ誌の特集で見た写真ですね。ロバート・テイラーやグリア・ガースンやミッキー・ルーニーらがいます(クリックで拡大)。
 そして最前列の社長を挟んだ左隣には別格スターのキャサリン・ヘプバーンが。うん貫禄だ。
 右隣はグリア・ガースン、アイリーン・ダン、スーザン・ピータースと、知名度や実力からいってまあ順当な並びでしょう。その次は誰かな?クレジットにはジニー・シムズとありました。
 当時、ジニー・シムズは社長の愛人でありMGMで大スターとして売り出してもらえるという恵まれた立場でした。
 これが私と今年生誕100年を迎えるジニー・シムズ(以下GS)の出逢いでした。
 1930年代人気スイングバンドのケイ・カイサー楽団の専属歌手として活躍、やがてソロ歌手からハリウッド映画界に。ユニバーサルやRKO映画社の歌うだけのミュージカル映画をかなり観ましたが、画面写りは至って普通だしカリスマ性はまるでありませんでした。
 さてどの様な過程でMGM社長のご贔屓になったのか?は分かりませんが、GS売り出しのMGMミュージカル大作がジョージ・マーフィ主演の「Broadway Rhythm」でした。ジェローム・カーンの名曲など次々歌い、豪華な衣裳につつまれたGSでしたが、多分不評で人気も出なかったのでしょう。やがてMGMから解雇されました。GSにはワーナーでケイリー・グラントと主演したコール・ポーターの伝記映画「夜も昼も」があり、ハンサムなグラントとピアノを弾きながら“You're the Top”をデュエットする場面が大好きでした。
 何度かの結婚相手の中には一流ホテルのハイアットの創設者の誰かがいたとか?どうやらブルジョワの殿方に愛される何かをそなえていたみたいですね。
 映画を観てもGSにまるでときめかなかった私ですが、1994年に亡くなった時にアメリカで発売された追悼CDは購入しましたっけ。楽団の専属歌手時代の曲から映画で歌った曲、そしてラジオの自分のショーで歌った曲などが2枚のCDに収録されていました。
 大スターにはなれなかったジニー・シムズですがDVDやYouTubeで全盛期の活躍を今でもたっぷり楽しめますよ。

天野 俊哉




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