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Vol.76 日米2人の振付師を悼んで
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昨年12月23日にアメリカの振付師マイケル・キッドが、11月2日に日本の振付師山田卓先生が亡くなりました。このお2人、アメリカと日本でそれぞれ「Guys and Dolls」を振付したという共通点があります。過去にすばらしいダンス作品をたくさん残されてきたのに、日本のメディアがほとんど取り上げなかったのは残念なことです。
76歳で亡くなった山田卓先生は、劇団四季、宝塚をはじめとするステージやTVショー番組などですばらしい仕事をされてきました。ジャニーズの男の子たちが今でも使っている、手をくるりと回す“あの”フリを創作されたのが山田先生でした。
私が学生の頃、旧東京宝塚劇場の3階席で当時\300だったプログラムを開いて、振付クレジットをチェックするのがとても楽しみでした。山田先生や喜多先生の名前があると、もう観る前からワクワクし、そのダンス・シーンは絶対に期待を裏切ることはありませんでした。
「ザ・レヴューU」「Guys and Dolls」で大地真央さん、「ザ・モダーン」で剣幸さん、「ザ・ショーケース」で大浦みずきさん、「ダンディズム」で真矢みきさんら、男役の魅力を最大限に引き出しておられました。最近、「ネオ・ダンディズム」というショーでも先生が以前振付された“Carioca”がリバイバルされていました。奇しくも今年、宝塚で再々演される名作「ME AND MY GIRL」のオリジナル振付も山田先生です。
先生が書いた、もしくは先生について書かれた本は残念ながらありませんが、イラストレーターで今では映画監督として知られる和田誠さんの本「ビギン・ザ・ビギン」(文芸春秋1982)には、先生のインタビューが実に12ページにも亘って載っています。当時はジャズダンスが大ブームであり、ジャズダンスを向上させようという動きが見え始めていました。山田先生は県洋二先生と共に1984年に発足した日本ジャズダンス協会の会長を務められました。
山田先生の振付作品は、宝塚レヴューの映像のほか、TVや映画にも残されています。TVではNHKで年末に放送される「紅白歌合戦」の特番などで時々放送されます。昨年末の特番では、小柳ルミ子さんの「お久しぶりね」でのダンスが登場しました。映画では、たのきんトリオの「ブルージーンズ・メモリー」(ビデオ廃盤)や、松坂慶子さんの「上海バンスキング」があります。「上海バンスキング」はDVDが発売されているので興味のある方は是非ご覧ください。
山田先生は、私世代あたりまでの人気は絶大でした。ジャズダンスのかっこ良さを伝えてきたという意味で、日本を代表する(そして恐らく最後の)方だったのではないでしょうか。
先生のご冥福を心よりお祈りいたします。
天野 俊哉
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