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Vol.734 「アステアを、小脇に抱えて、冬の街」
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もうかれこれ20年近く前の事。フレッド阿部(阿部久志)さんから1本の電話が。
とても慌てた様子でした。話によると「今まで見たことも無いくらい凄いフレッド・アステアの洋書を見つけた!」という内容で、「二冊あるから天野さんの分も一緒に買っておきましょうか?」というありがたきお言葉でした。もちろんお願いしました。
ちなみにフレッド・アステア大ファンであり、自分の踊りにアステア像を取り入れた阿部久志さんは私にとって「フレッド阿部」。そして同じアステア大ファンであり骨の髄までアステアな白川希君は私にとって「日本のフレッド・アステア」。
お二人とも私の大大大好きなタップダンサーです。
さて阿部さんから渡された分厚い写真集「Astaire Dancing」はアステアが主演したミュージカル映画1本1本をじっくり掘り下げ、ダンス・ナンバーの写真をタップリと掲載してありました。今日に至るまでこれを超える書物は存在しません。ボロボロになるまで何百回もページをめくったものです。実家の本棚に大切に保管してあります。
すみません、まだ終わりません。
時は流れて今年の1月半ば、新宿のディスクユニオンの書籍売場を訪れた私はそこでたったの500円で売りに出され、それでも売れ残っている「Astaire Dancing」を発見。アステアの「バンドワゴン」にこんな場面あったなあ〜と、がく然としたまま30秒は固まっていました!
何としても納得の出来なかった私は「日本のフレッド・アステア」こと白川希君にこの出来事をメールすると、「洋書で、アステアでは仕方ないですかね」たいへん大人びたお言葉が返ってきました。
さすがだ!
白川君によると彼が持っていた「Astaire Dancing」の本を見た加藤邦保先生がとても気に入られ、白川君が先生の為にわざわざアメリカからその本を取り寄せたとの事。
アステアファンは皆さん親切ですね。
で、すみません、まだ終わりません。
さらに1週間後、再びお店に立ち寄った私はまだまだ売れ残っているアステア本を見てしまいました。どこからかアステアの切ない“By Myself”の歌声が聴こえてきました。当然の流れとして私はワンコインでその「Astaire Dancing」を購入、いや引き取りました。
洋書のハードカバーはでかくて重いのですね。小さなリュックには入らないので仕方なく小脇に抱えて持ち帰りました。
おわり。
天野 俊哉
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