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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.675 「On the Town」日本初上陸その3
 24時間の休暇をもらってニューヨークに上陸した3人の水兵の恋物語。
 簡単ですがホントにこれだけのミュージカル。
 第二次世界大戦中のアメリカでなければ絶対にヒットしなかったと思います。
 「なぜ今、このミュージカルを日本で上演するのか?」実に不思議な事ですが、興味津々で劇場に向かいました。
 しかも劇場は、私にとって「アニー」や「リサイタル」の上演で懐かしの青山劇場。来年の春に閉館との事です。
 「アニー」の稽古の時、先生や橋爪とよく入ったカフェテリアでのんびりカレーを食べていたら何と開演10分前になっていて、あわてて入場しました。
 さてキャストですが、男性の一人坂本昌行さんを舞台で観るのは「ネバー・ゴナ・ダンス」「パル・ジョーイ」に続いて3回目ですし、長野博さん井ノ原快彦さんも器用な方、そして女性(真飛聖・樹里咲穂・シルビア・グラブ)は舞台の人なので、ある程度安定した作品を想定。
 オリジナル台本では、男性3人と女性3人がバランス良く扱われており、特に坂本君だけがフューチャーされてる訳ではありませんでした。
 映画にはないキャラや、当時の映画では絶対に使えないエロいセリフを楽しみながらも、(コラムその2で触れたように)ラブバラードをはじめとした馴染みやすいメロディの不在が大きいなと感じました。
 ただ、気になったダンスナンバーはジェローム・ロビンスのオリジナルを演出・振付のビル・バーンズが魅力的にアレンジしており、モダンバレエをメインにした動きがジャズダンスになれた今の時代、逆に懐かしく嬉しかったです。
 主役の方々に加え、アンサンブルの若いダンサー達が振付を良くこなしており作品全体をしっかり支えておりました。
 一つだけ奇妙だったのが“A Day in New York Ballet”での坂本さんと真飛さんのデュエットで、急に坂本さんが上半身裸になる事でした。
 私は、男性の裸には興味がありませんので、この流れには白けました。
 ただ帰り道での周りの女性達の会話の殆んどが「坂本さんの裸」でしたので、効果は多いにあったようですね。
 多分、私にとっては最後の青山劇場になるのですが、残念だったのがセリなど青山劇場ならではの舞台機構が、このミュージカルには全く活用されていなかった事でした。
 さて、来月はアダム・クーパーによる来日ミュージカル「Singin' in the Rain」が上演されるなど、ミュージカルファンにとっては実に刺激的なシーズンの到来ですね。

天野 俊哉




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