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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.531 日本未公開の問題作を観て
 終戦直後の日本で、絶対に上映されない種類の映画がありました。それはアメリカの民主主義に反する映画や差別を扱った映画でした。
 私が映画を観始めた時期はそれらの問題作は上映されても良い時代になっていました。「チャップリンの独裁者」「市民ケーン」「タバコ・ロード」「十字砲火」「紳士協定」などは劇場で上映され、「北極星」「ロシアの歌」などはビデオやDVDで観ることが出来ました。
 さて製作されてから60年以上たって日本語字幕が入りやっとDVD発売されたのが、人種差別を扱ったエリア・カザン監督の「ピンキー」Pinky(1949)です。
 当時の日本でこの作品を観ていて語る事の出来た映画関係者は、淀川長治氏だけでしたので、詳しい批評の内容はほとんど知りませんでした。
 先月末、名前のみ知っていたこの作品を私も初めて観ました。
 肌の色が白い為、白人に見られてしまう黒人女性の苦悩を描いていますが、演じたのが当時ハリウッドで人気のあったジーン・クレインである所に問題作に成りきれない弱さを感じました。さらに表現方法も現在よりはるかに規制されていた時代だった為にリアリティーに欠け、学生演劇の様な生温い展開が続きます。ただヒューマンドラマとしては大変良く出来ていましたが。
 これはあくまでも、1949年そう昭和24年の問題作と割り切って観なければいけなかったのですね。刺激を求めて望んだ私にとっては残念な結果に終わりました。

天野 俊哉




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