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Vol.456 生誕100年メリー・マーティン〜ブロードウエイミュージカルの女王
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かつてブロードウエイには二人の歌う女王がいました。ひとりは「アニーよ銃をとれ」(1946)を代表作とするエセル・マーマン、そしてもうひとりが今年12月に生誕100年を迎える「南太平洋」(1949)「ピーターパン」(1954)を代表作とするメリー・マーティン(以下MM)です。
私は意外にも中学生の頃からMMに対してある複雑な印象を持っています。初めて人に話す事なんですが、くだらなくてすみません。
アメリカ映画にはクローテッド・コルベールという大女優がいまして「或る夜の出来事」(1934)という名作を観て知りました。MMはこのコルベールにとても良く似ているのですね。特に頬っぺたが。コルベールは自分の頬っぺたにコンプレックスを持っていてカメラマンに対して「絶対こっちから撮ってはダメ」という条件付きで映画出演していたんです。なぜって?不美人に見えるからですよ。
MMはコルベールほどの権力がありませんから実に不美人に見えるショットが多くて気の毒で気の毒で。どうでもいいですね。
高校生の頃、映画館でミュージカルの名作「南太平洋」(1958)を観て主演のミッチー・ゲイナー演じるネリーが海辺で元気良く歌う“A Wonderful Guys”が凄く気に入りすぐにサントラ盤レコードを買いました。
少ししてテレビでブロードウエイミュージカルの名場面を取り上げたショーを観た時、観客の物凄いスタンディングオーベーションに迎えられMMが登場。遂に観たご本家“A Wonderful Guys”ですが「何か違うな」と拒否反応を示した高校生の私。「僕のネリーはミッチーだけだ」と全くMMのネリーを受け入れる事が出来ませんでした。
大学生になって新宿コマ劇場で榊原郁恵ちゃんの「ピーターパン」(1981)を観てとても感動しました。帰りの電車でその時買ったパンフレットを見てビックリ。「MMが初代ピーターパンだったなんて!ありえない」。
まあ、こんな風に出逢いは最悪だったのですが、ある映画を観てMMの真の魅力を知りました。それが、あの偉大な作曲家コール・ポーターの伝記映画「夜も昼も」(1946)でした。
この作品でMMは自分自身の役で登場し“My Heart Belongs to Daddy”という持ち歌を披露するのですが、最高でしたね。とてもキュートな魅力一杯でした。私はこの曲がかなり好きで映画「恋をしましょう」(1960)ではマリリン・モンローが、舞台「JACK」(1982)ではウエイン・シレントが共にセクシーに歌い踊っていましたが、MMははるかに上をいってました。
私も歳をとるに従って本物を見極める事が出来る様になってきたのかな?とその時感じました。
写真 左から
エセル・マーマン
クローテッド・コルベール
メリー・マーティン
天野 俊哉
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